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日本語ならではの言葉の美しさやあやうさに惹かれる

――『silent』は久々に社会現象となるほどのドラマになりましたが、近年はNetflixやAmazon Prime Videoなどのサブスクサービスを通じて、世界的にヒットしている海外ドラマとも競合しなくてはなりません。こうした配信コンテンツの存在を意識することはありますか?

【生方】実はあんまり意識していなくて……。配信コンテンツに勝とうとか、海外ドラマに劣らないものを作らなきゃ、みたいなことを考えたことがないんですよね。というのも、私自身が海外ドラマにそれほど興味がなくて、視聴者として普通に日本の地上波のテレビドラマが大好きなんですよ。

もちろん作り手としては、海外にも通用するコンテンツ作りとかを考えなきゃいけないんでしょうけど。私としては「日本のドラマ面白いじゃん」という感覚なんです。

――なるほど。では、海外ドラマに引けを取らない日本のドラマの良さや面白さはどんなところだと思いますか?

【生方】私の場合、演出や映像に関して日本のものが好きというよりも、日本語が好きということに尽きます。ドラマや映画の中に、日本語ならではの言葉の美しさやあやうさ、言葉遊びのできる面白さが盛り込まれていると、とても惹かれますね。だから、言語や文化が異なる時点で、海外の作品と比較したり優劣をつけたりするのは難しいです。

地上波ドラマのアナログな楽しみ方

――日本のエンタメがかつてより力を失ったと言われることもありますが。

【生方】単純に、YouTubeもネトフリもインスタもなかった時代と比べると、エンタメが多様化したぶんみんながドラマや映画に割く時間が減っただけ、とも言えると思います。もちろんその多様化したなかでドラマや映画の存在感を回復させなくてはならないのだと思いますが……。

――テレビドラマの脚本家として、配信コンテンツなどに危機意識を感じることはありませんか?