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突然の余命宣告「君はすぐ死んじゃうんだぞ」

――鼻血以外に症状は?

後藤 痣や内出血は多かったですけど、バレーボールをやってたら「こんなもんかな」って、気にしなかったです。他に自覚できる症状はなく、体感では健康そのものでした。

 それなのに、豪華な個室をあてがわれたり、家族が病室に晩ご飯を毎日持ってきて、家族そろって食事していたので、「みんな、大げさだなあ」と思っていたくらいです。

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 ただ、少しずつおかしいなと思うことが起こって……。私は当然すぐに退院できるものと思っていたので、主治医の先生に「2学期には間に合いますか?」と尋ねたら、「それは……ちょっと出来ないと思います」と言われて。

「でも、中3なんで、受験もあるので……」と食い下がると、「ちょっと高校生になるのはあきらめて」と言われたんです。

――それは戸惑いますよね。

 

後藤 ショックでした。ふてくされましたね。これはすごく長い入院になるんだ、すごく長い時間、私は日常に戻れないんだ、と。せめて友達には会いたいと思い、禁止されていたのに、病室を抜け出しました。

 そうしたら、普段は物静かな父が、いままで見たことがないくらいに激高したんです、「君はすぐ死んじゃうんだぞ!」って……。

 そのときに、ようやく事態が飲み込めました。長い入院じゃなく、退院の見込みがないんだって。しかも時間はどうやら長くない。両親は「夏休みいっぱいまでだろう」と告げられていたそうです。「できるだけ長く一緒にいてあげてください」と。それで毎晩、病室で家族の晩餐だったんです。

――中学3年生には、受け止めるのが難しいですね。

後藤 「私、まだ何もやってないのに」「好きなこと何もやってないのにもう終わるの?」って、ショックというか、飲み込めないというか。

 でも、「最後までここ(病室)で過ごすんだ」と思ったら、何をやっても楽しくない。終わりを待つだけだったら、時間を何に使えばいいのかもわからない。

 そうやってぐるぐる考え込んでいるうちに、結局、何もせずただ寝てばかりいるようになりました。