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「全員をカタギに…」神戸山口組を離脱した侠友会が解散 寺岡会長の“構成員を6代目山口組へ移籍させない決断”の理由とは

「全員をカタギに…」神戸山口組を離脱した侠友会が解散 寺岡会長の“構成員を6代目山口組へ移籍させない決断”の理由とは

2022/12/28

genre : ニュース, 社会

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 国内最大の暴力団「6代目山口組」が2015年8月に分裂し、離脱したグループが結成した「神戸山口組」との間の対立抗争状態が続いている。2022年12月20日、その神戸山口組の中核組織として活動してきた「侠友会」の会長・寺岡修が、6代目山口組のナンバー2、若頭の高山清司らに謝罪し、自らの引退と組織の解散を表明した。

 6代目山口組は勢力を維持する一方で、神戸山口組は近年、傘下組織の離脱が相次ぎ勢力が減少傾向にあるため、寺岡は神戸山口組組長の井上邦雄に組織の解散を進言していた。だが、組織の存続を主張する井上とは相いれず、寺岡は2022年8月に神戸山口組から離脱し独立を表明。すると、規律を乱したとして井上から最も厳しい絶縁の処分を受けていた。

 ただ、6代目山口組としては、組織を分裂させ神戸山口組を結成したリーダー格の井上同様に寺岡も許しがたい存在だったのは間違いなく、警察当局の捜査幹部は、「寺岡が謝罪したのは当然、命の保証をしてもらうといった意図があっただろう」との解釈を示している。

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稲川会の幹部に見送られて新幹線に乗る寺岡修(中央)

「引退の表明にあたり、6代目(山口組)の執行部にわびを入れるようだ」

「寺岡が引退を表明し、侠友会の若い衆は6代目(山口組)に移籍するらしい」

「引退の表明にあたり、6代目(山口組)の執行部にわびを入れるようだ」

 年の暮れも押し迫る2022年12月中旬、6代目山口組と神戸山口組の抗争を注視してきた組織犯罪対策を担当する警察幹部のもとに、寺岡をめぐる情報が次々ともたらされた。さらに「謝罪の場所は稲川会館(国内3番目の勢力・稲川会の事務所)。12月20日に決まった」「謝罪の相手は6代目山口組のカシラの高山」と詳細な情報も漏れ伝わってくる。

6代目山口組の高山清司若頭

 横浜市内にある稲川会館に場所が設定された理由は、6代目山口組が稲川会と友好関係にあること。加えて、6代目山口組は暴対法に基づき特定抗争指定暴力団とされているため、多くの拠点がある神戸市や名古屋市などは警戒区域に設定されており、おおむね5人以上で集まると逮捕の危険があったためと言われている。

 寺岡や6代目山口組の幹部は、新幹線を新横浜駅で降りて稲川会館に向かうと見られていた。当日は早朝から警視庁や神奈川県警の捜査員が行動確認のために駅周辺に配置されていたが、「寺岡の到着は11時すぎ」「10時半前後」と情報は錯綜していた。

 最終的には「11時16分にシンヨコ着」の新幹線に寺岡が乗車していることが確認され、間もなく姿を見せる。出迎えた稲川会の最高幹部に伴われて稲川会館に向かった。