JR東日本のグループ会社「東日本環境アクセス」では、首都圏を中心とした駅や駅ビルの清潔感を保つ「清掃のプロ」として、清掃スタッフ約3800人が働いている。様々な趣味や特技を持つスタッフも多く、ほかの道を目指す過程で「東日本環境アクセス」と出会い、人生が変わったという人がいる。
「祖父は警察官でした。今上陛下が皇太子だった時、葉山御用邸でSPを務めたこともあったと聞いています」
そう話すのは、小林義宗さん(30歳)。今年で入社8年目。新宿エリア事業所のクリーングループリーダーを務める。
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警察官を目指した学生時代
「皇太子殿下に仕える」栄誉に憧れ、少年時代は警察官を目指していたという小林さん。体を動かすことも好きで、学生時代は空手に打ち込んだ。
大学在学中、そして卒業後にも警視庁採用試験を受けたが、結果は不採用。「それなら」と、アルバイトをしながら思い切って、格闘家を目指すことに決めた。
「トレーニングも兼ねて体を動かす仕事がいい」とアルバイト先に選んだのが、JR東日本のグループ会社「東日本環境アクセス」清掃クルーだった。
「社員になるか?」で人生が変わった
「ずっと体育会系で育ってきたからか、やるからには『負け』たくない。たとえバイトでも、与えられた仕事は全力以上にやり遂げる」。秘かに闘志を燃やしながら仕事に取り組む小林さんを、周囲は見逃さなかった。半年後には契約社員、その1年後には登用試験に合格して、小林さんは正社員に昇格する。周囲の評価もすこぶる高く、「一生懸命で、何でもこなせる。優秀ですよ」と上司は褒めるが、小林さん自身はこう謙遜する。
「最初は、『小林君、一生懸命やっているから、契約社員になるかい?』って所長に声をかけてもらったんです。その1年後には、『小林君には、社員になってもっと経験してもらいたいこと、やってもらいたいことがあるから、登用試験受けてみないか?』って。今にして思えば、うまく所長に乗せられていたんですよね。所長のおかげで人生が変わりました」