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ヒオカ ありがたいことにそれはなかったんです。「お金は1円も出さないけど、国公立の大学に行きたいなら行きなさい」みたいな感じでした。

 ただ、浪人は許されないし、受験料を節約するために併願もできなかったから、プレッシャーで体調がボロボロになりました。ずっと胃腸の調子が悪くて下痢が続いたり、倒れるくらいひどい頭痛が続いたり。センター試験の当日も眠れなくて。それでもなんとか必死で勉強して、関西の国公立の大学へ入ることができました。

シェアハウス生活を始めて、食べ物を受け付けなくなった

――大学進学後、ご実家からの援助は全くなく?

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ヒオカ そうです。むしろ実家には、奨学金の中から仕送りをしていました。そういう状況だったから、大学入学後に1人暮らしをするための家具家電代、敷金礼金などの初期費用がどうしても工面できなくて。

 初期費用が必要なく、安く住めるシェアハウスに入居したんですが、とにかく環境が悪かったんです。冷暖房もなければ自分の部屋もなく、住人たちと布団を並べて雑魚寝で寝るという。

――自分のスペースがないのは、かなりのストレスでしょうね。

ヒオカ シェアハウス生活を始めてから、全く食べ物を受け付けなくなったんです。突然激しい腹痛に襲われて、ルームメイトが救急車を呼んでくれたこともありました。お粥、刻んだ納豆、ゆでた豆腐くらいしか食べられない生活が何年も続いて、だんだん衰弱して。身長が170センチなのに体重が40キロ台まで落ちてしまった。

 私、子供の頃からずっと何かしらの体調不良があるんです。初めは「体が弱いのかな」と悩んでいたんですけど、1年くらい前にようやく、生育環境での経験やトラウマが影響しているとお医者さんから指摘されました。

 

365日あったら364日くらいはしんどい

――具体的には、どんな症状があるんですか?

ヒオカ 自律神経に異常をきたしているので、毎日全然眠れないんですよね。頭痛もひどくて、症状を抑える頭痛薬を飲み続けているうち、どんどん効かなくなって、強い薬を処方されるようになりました。あとは吐き気があったりして、食べられなくなってすごく痩せたり、逆にすごく太ったり。未だにそういった体調不良が続いています。

――私も家庭に虐待があったので、似たような症状が昔からあります。体調が本当に悪いのに、ストレスや自律神経の失調が原因だと、どこを検査をしても異常が見つからないので仮病を疑われたり。

ヒオカ 理解が得られなくて大変ですよね(笑)。365日あったら364日くらいはしんどくて、1日元気な日があるかないかくらい。

 大学時代は途中でアルバイトもできなくなって、実家から援助をしてもらうこともできない身なので、精神的にかなり追い詰められてしまいました。それでもなんとか卒業したんですけど、就職してからも機能不全家族で育った地獄は続くんです。

撮影=釜谷洋史/文藝春秋