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貧困による障壁の多さを多くの人に知ってほしい

――ヒオカさんは、昨今の「自己責任論」についてどう思われますか?

ヒオカ 正直なところ、貧困問題に対しての視座があまりにも低いなと感じます。

 生育環境や条件が変わると、同じゴールを目指すにも道のりが険しくなったり大きな障壁がそびえ立っていたり、場合によってはたどり着くのが「不可能」になったりする。それをもっと多くの人に知ってほしい。

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――以前も「親ガチャ」というワードが話題になりましたね。最近だと、大学生の生活保護受給可否についての問題がネット上でもかなり波紋を拡げました。

ヒオカ 虐待親から逃れて、奨学金とアルバイトで生計を立てている大学生が、病気や怪我などで一時的に働けなくなった際に生活保護を頼りたくても頼れない、というやつですよね。

――そうです、ネットやSNSでトレンド入りするくらい話題になっていました(※)

(※編集部注:大学生から相談を受けた行政側が窓口で「大学は贅沢品です」「大学を辞めてから来てください」と申請書すら受け付けず違法に申請者を追い返す、いわゆる水際作戦を行った。その後、相談者がネット上で署名を集めて厚労省に提出。厚労省では大学生の生活保護の受給等に関して、5年に1度の審議会で検討が行われたが、制度見直しとならなかった。)

ヒオカ ヤフコメやツイッターを見ると、大学生の生活保護受給に否定的な意見ばかりで。「高卒で働いてお金を貯めてから大学に行け」みたいなコメントがすごく多いじゃないですか。

 今の時代、就職活動をするにしても、安定した仕事だと最終学歴は「大卒以上」を求められるのに、いつの時代の話をしているんだろうと。 

――現実的な解決につながりにくいなどの批判が多く寄せられますよね。

ヒオカ 高校を卒業してすぐ、給料が良いところに就職できる人はほんのひと握りだと思います。特に長時間労働の場合、毎日早朝から夜遅くまで働いて、帰った頃にはフラフラで、すぐ明日の仕事に備えて寝なきゃいけない。

――職場と家を往復する「日常」の維持だけで精一杯になるんですよね。しかも高卒は大卒に比べて賃金が下がりますし、1人で生活するとなると学費を貯金するのも難しいでしょうし。

ヒオカ 就活市場でも、企業にとっては現役の新卒より優先度がかなり下がってしまう問題もありますね。そういった構造自体が変わって、社会人になってから大学に進学するのが一般的になった社会だとすれば、まだわかりますけど。