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ミイラのような遺体で発見された母、自殺した父…大人になってわかった両親の命を奪ったものの正体

source : 提携メディア

genre : ライフスタイル, 社会

フェミニズムは人生の役に立つ

両親ともに遺体で発見された女、という中二が濡れる設定を持つ私は20代前半でフェミニズムに出会った。アメリカで女性学を学んだ会社の先輩から田嶋陽子さんの本を借りて、フェミニズムを知ったおかげで親の人生を理解することができた。

あの日あの時あの場所でフェミに会えなかったら、「親に愛されなかったのは私が悪いから」「親があんな死に方をしたのは私のせいかも」と自分を責めただろう。自己責任教と家族の絆教にまんまと取り込まれていただろう。

そうならずにすんだのは「それもこれも全部、ジェンダーの呪いのせいだ」と理解できたからだ。

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フェミニズムは人生の役に立つ。それを実感しているから、ジェンダーの呪いにバルスと唱えて「オッス! おらフェミニスト」と宣言している。

新しいフェミニズムの時代だが「フェミ叩き」も

古(いにしえ)よりフェミニズムはバックラッシュの歴史だ。ノルウェーの児童書『ウーマン・イン・バトル 自由・平等・シスターフッド!』(合同出版)に描かれているように、自由と権利を求めて闘った女性たちの多くが逮捕されて投獄されて拷問された。

日本で参政権を求めた女性たちも「イカれた女たち」と激しいバッシングを受けたし、2000年代にはフェミニズムに対する本格的なバックラッシュが始まり、ジェンダーフリーバッシングの嵐にさらされた。

フェミニズムの波が来ると、それを潰そうとする波が来る。2017年に伊藤詩織さんの告発があり、その後#meTooやフラワーデモが全国的な広がりを見せた。今は第四波フェミニズム、SNSを使った新しいフェミニズムの時代と呼ばれていて、同時にフェミ叩きも広がっている。女が自由や権利を求めるのが許せない人間は古今東西存在するのだ。

私も昔は叩かれるのが怖くて、フェミニストを名乗ることに抵抗があった。でも私たちが進学して就職して選挙に行けるのも、バックラッシュに負けず闘ってくれた先輩たちのおかげである。そんなフェミニストたちに感謝して、次世代にバトンをつないでいきたい。