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勝手にそう思い込み、日本の工芸品を売ろうとする企業がたまに出てくるのです。しかし日本の工芸品は台湾ではあまり売れません。台湾でビジネスをしようと思ったら、「台湾人は日本の何が好きなのか」をしっかりと把握する必要があります。

台湾の人たちは日本の食べ物が大好きなことは間違いありません。それは事実なのですが、佃煮のような食品を売るのはとても苦労します。その理由は、台湾では白米に対する考え方が日本とは少し異なるからです。

「熱々ご飯のお供に」というフレーズは響かない

日本の場合、主食はあくまでもお米であり、おかずは副食という考え方を持っている人が多いのではないでしょうか。一方、台湾では、美味しいおかずが主食であり、白米はあくまでも副食と考える人が多いのです。したがって、副食の“添えもの”である佃煮にはどうしても食指が動きません。

日本ほど白米の品質が良くないことが影響しているのか、白いご飯よりもおかずを重要視する傾向が強いのです。そうした背景があるため、日本のような“熱々ご飯のお供に”というフレーズは台湾ではあまり響きません。

佃煮の販売促進を依頼されたときは、佃煮だけを売るのではなく、小ぶりのおにぎりの試食を提供しながら、瑞々しい日本米とのセット販売をするという方法を採用しました。

日本と台湾の間には似ている部分はたくさんありますし、日本の商品が受け入れられる土台はあります。しかし、ビジネスをする際には異なる習慣にも目を向けないと死角を突かれてつまずいてしまうことも考えられます。この点には十分留意をしておいたほうがいいでしょう。

日本のリンゴは人気だが、スイカは不人気

日本人が陥りやすい勘違いは、ほかにもあります。

台湾では日本の果物はとても人気です。それをどこかで聞きつけたのか、事前に厳選するというプロセスを踏まずに、とにかく日本から果物を持ってこようとする業者がいます。しかし、日本の果物が人気の台湾といえども、何でも売れるというわけではありません。