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例えば、日本のリンゴは人気ですが、それは「赤」が縁起の良さを象徴するものであり、リンゴ(中国語で「蘋果(ピングオ」)の蘋の発音が「平安(ピンアン)」の「平」の発音に似ているから好かれているのです。「1日1個リンゴを食べていれば風邪をひかない」と昔から家庭で言われ、健康食品と見なされていることも人気に関係しています。台湾で栽培されているものよりも品質が良い点も人気の理由の1つです。

しかし、スイカとなると話は変わります。台湾のスイカはとても甘みがあって美味しく、サイズが大きいのにもかかわらず安価です。そうした事実を知ってなのか、もしくは知らないでなのか、日本のスイカを台湾で売り込もうとする日本の自治体があったりします。当然ですが、前もってしっかりと台湾の実情を調べておかないと、失敗する確率は高くなるばかりです。

台湾の崎陽軒では、熱々のシウマイ弁当を提供している

果物に限らず、食についての勘違いは本当によく起こります。

台湾では中食(なかしょく)文化が発達しており、テイクアウトを利用する人がたくさんいます。

台湾の中食が日本のものと明らかに異なるのは、どの店も熱々の食べ物を提供している点です。その違いは、台湾の鉄道駅で売られている駅弁を見るとよくわかります。

冷めた食べ物はおいしくないと考える人が多いため、台湾の駅弁は熱々のヒーターの上で温められたものが販売されているのです。駅弁を買い求めた人の中には、食べ物が冷めてしまうのを嫌い、買ってすぐに待合室で食べ始めてしまう人もいます。

駅弁についてさらに言うと、2020年にシウマイで有名な崎陽軒が台湾のセントラルステーションである台北駅に海外1号店を出店したことが話題になりました。

崎陽軒にとって新たな試みとなったのは、セイロに入った熱々のシウマイをその場でお弁当に詰めて提供することでした。事前の調査により、崎陽軒は「日本のように冷たいままのシウマイ弁当では台湾では絶対に売れない」とわかっていたのです。