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「畑が雪で覆われて野菜が育たない…」→「野菜が地元の名産に!」雪国のJAがブランド野菜を生んだ「逆転の発想」

2023/03/30

PR提供: 全国農業協同組合中央会

日本一の米どころ・新潟。しかし、雪深い冬は露地栽培ができず、農家は米以外の収入を確保しづらいという課題がある。その打開策の一つとして期待されているのが、雪を活用した雪下・雪室野菜だ。

 新潟県の上越地方は県内有数の豪雪地帯で、冬の間は一面の雪に覆われる。そのため、野菜などの栽培が難しく、農家にとって厳しい季節となる。

 JAえちご上越の農産物直売所「旬菜交流館あるるん畑」にとっても、冬場の農作物の品揃え不足が悩みの種だった。ある時、生産者が「出荷できるものがないから、雪の下から掘ってきた」というキャベツを持ち込んできた。

地元農作物や特産品等を販売する「旬菜交流館あるるん畑」。海鮮レストランや地場産米粉パンの店がある「あるるんの杜」が同じ敷地内にあり、地元の人たちや観光客で賑わっている。
地元農作物や特産品等を販売する「旬菜交流館あるるん畑」。海鮮レストランや地場産米粉パンの店がある「あるるんの杜」が同じ敷地内にあり、地元の人たちや観光客で賑わっている。

 雪国では、古くから生活の知恵として、雪を野菜の保存に用いてきた。農家でもキャベツや大根、白菜などを収穫せずに雪が積もるまであえてそのままにしておき、必要に応じて雪の下から掘り起こして収穫することがある。これを「雪下野菜」と呼んでいる。その生産者が持ち込んだキャベツは、「ほかのキャベツより甘くておいしい」と好評を博すようになる。

 野菜や果物などを生産するエー・エフ グリーン代表で、「雪下・雪室研究会」会長の相澤誠一さんによると、雪の下で貯蔵した農作物は、甘みやうまみがぐっと増すという。

「野菜は自分が凍らないように、デンプンを糖化させることで身を守ろうとするので甘みが増します。また、上越地方の雪は水分が多くて重たい雪質なので、雪にしては温度が高めで、野菜の保存に適しています」(相澤さん)

 2017年にJAと生産者が「雪下・雪室研究会」を設立。雪の下で1ヶ月以上過ごさせたのちに収穫した野菜を「雪下野菜」、収穫後に倉庫などで雪とともに貯蔵したものを「雪室野菜」と区別し、適切な貯蔵方法や、糖度の変化などを研究。生産者と情報を共有し、品質の安定化や向上に役立てている。

雪室にうず高く積まれた雪の上に置いた野菜の数々。貯蔵方法や期間を定めたガイドラインがあり、それに則って貯蔵している(通常は雪の隣の空間にコンテナ入りの野菜を置いて貯蔵)。
雪室にうず高く積まれた雪の上に置いた野菜の数々。貯蔵方法や期間を定めたガイドラインがあり、それに則って貯蔵している(通常は雪の隣の空間にコンテナ入りの野菜を置いて貯蔵)。

 雪室は、米の苗を育てるJAの「育苗センター」内の「出芽室」を活用。冬は倉庫として使っていたこの部屋に2トントラック20台分の雪を入れ、その隣に収穫した野菜を貯蔵している。

「室内の温度は0~2度、湿度は90%になります。雪によって低い温度を保てるだけでなく、少しずつ溶けて出る水分が、野菜にとっていい状態を保つ役割を果たします」(相澤さん)

 こうした取り組みで、雪下・雪室野菜の付加価値を高め、大根、にんじん、白菜、キャベツ、長ネギ、ブロッコリーなどの品目を「雪下畑の仲間たち」のブランド名で販売。ファンも着実に増えている。農家も冬の農業所得を増やせるとあって、生産量も増大中だ。

「他の野菜より1~2割高くても売れています。雪下で保存しているため、見た目は少々良くないのですが、生産者自ら作成した手書きPOPで『色は悪いですが、しっとりシャキシャキで甘くて美味しいですよ』と説明しているので、お客さんもそれをわかった上で買っています」(「あるるん畑」店長・亦野潤一さん)

「あるるん畑」の「雪下・雪室野菜コーナー」。キャベツは白っぽくなっているものの、甘みの違いは明白。実際に食べてみると、みずみずしさや歯ごたえの良さ、強い甘みに驚かされる。
「あるるん畑」の「雪下・雪室野菜コーナー」。キャベツは白っぽくなっているものの、甘みの違いは明白。実際に食べてみると、みずみずしさや歯ごたえの良さ、強い甘みに驚かされる。
「雪室野菜」を持つ生産者の相澤誠一さん(左)と、「旬菜交流館あるるん畑」店長の亦野潤一さん。
「雪室野菜」を持つ生産者の相澤誠一さん(左)と、「旬菜交流館あるるん畑」店長の亦野潤一さん。

 雪下・雪室野菜の知名度向上に力を入れる相澤さんは、雪で美味しくなった野菜を学校給食に導入し、子どもたちに食べてもらいたいと考えている。

「雪深い地域が野菜を作るにあたって、雪はリスクでしかなかった。でも、雪室野菜は逆転の発想。地元の特産品として、もっと多くの人に味わってもらいたいんです」(相澤さん)

野菜の品目ごとに雪室保存した野菜の糖度の変化を測定し、品質向上に努めている相澤さんと亦野さん。
野菜の品目ごとに雪室保存した野菜の糖度の変化を測定し、品質向上に努めている相澤さんと亦野さん。

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※当選発表は発送をもって代えさせていただきます
※写真はイメージです

「国消国産」特設サイトはこちら

(提供)JAグル―プ

photographs: Keiji Ishikawa
design: Ken Kitamura