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成人男性の体重が36.8kgに…「衰弱死」させたとして起訴された57歳悪女の“驚きの弁明”《滋賀県「同居男性衰弱死」事件》

滋賀県「同居男性衰弱死」事件 裁判ルポ #3

2023/03/17

genre : ニュース, 社会

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 滋賀県愛荘町で、同居していた男性に暴行し、十分な食事を与えずに衰弱死させたとして、傷害致死罪などに問われた同町の無職・小林久美子被告(57)に対する裁判員裁判公判が大津地裁で開かれている。3月1日には被告人質問が行われた。

 小林被告は今年1月、別の時期に同居していた男性3人への傷害罪でも起訴され、有罪の部分判決が出ている。小林被告は、これまでにも何人もの人間を同じ方法で衰弱させ、刑事事件に発展しかねない虐待を繰り返していたと関係者らが別の公判ですでに証言している。

小林被告に対する裁判員裁判が行われている大津地裁 ©諸岡宏樹

死因は腹膜炎による敗血症性ショック

 2019年10月25日、病院に搬送された身長約172cmの岡田達也さん(当時25歳)は、体重が36.8kgしかなかった。19分後に採血されたが、血糖値は14しかなかった。死に至ってもおかしくない低血糖状態だ。

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 岡田さんの血液検査のデータを見た臨床検査医学の専門家は次のように話した。

「血糖値の正常値は70~109です。これが50~60になると、冷や汗が出ます。30だと意識朦朧になります。20を下回ると死に至ってもおかしくない。

 14というのは通常では考えられない低値だし、私たちも目にすることはありません。絶食でも数日では下がらない。摂食障害も考えにくい。食べ物がなかったか、与えられなかったとしか考えられません」

 直接の死因は腹膜炎による敗血症性ショックだが、「亡くなる一両日前に穴が開いたと思う。十二指腸に穴が開くというのはのたうち回るぐらい痛い。穿孔は放っておくと死に直結します」(同専門家)という。

小林被告の長女と3人で同居を開始

 日常的に被害者に暴行を加え、苛烈な食事制限をしたとする検察側の主張に対して、傷害致死罪ではなく暴行罪のみが成立すると主張する弁護側の主張が激しくぶつかり合った。

 弁護側の主尋問によると、小林被告が岡田さんと同居することになった経緯は次の通りだ。

弁護人「達也さんと知り合ったのは?」

被告人「達也さんの妻を通じて知り合った。達也さんの家に遊びに行き、普通に皆で話した。達也さんとはLINEを交換した。『今度は家に遊びに来て』と話した」

弁護人「達也さんの妻から聞いていたことはありますか?」

被告人「DVがちょっとしんどいと聞いた。前の奥さんともそれが原因で別れたと聞きました」

弁護人「達也さんと話して感じたことは?」

被告人「ちょっとやんちゃなところもあるけど、優しいところもありました。2018年10月初旬、私の家に遊びに来た。そのときは長女が一緒に住んでいたので、皆でおでんを食べながらお酒を飲みました」

弁護人「達也さんは何を話していましたか?」