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世界でも数社の最新テクノロジーで…落合陽一CEOの企業が「薄毛改善」でイノベーションを狙う理由

世界でも数社の最新テクノロジーで…落合陽一CEOの企業が「薄毛改善」でイノベーションを狙う理由

ピクシーダストテクノロジーズ星貴之氏インタビュー

PR提供: ピクシーダストテクノロジーズ

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メディアアーティスト・研究者の落合陽一氏がCEOを務め、独自の研究・技術を通じ自治体や企業とのオープンイノベーションを促進する企業・ピクシーダストテクノロジーズ。ユニークな事業を多数手がける中、アンファー、日本医科大学と組んだ「薄毛改善」テクノロジーが注目されている。
なぜ薄毛改善に乗り出したのか。最新技術を用いた、従来の薄毛治療とは一味違うアプローチとは。熊本大学助教、名古屋工業大学特任教員、東京大学助教としての研究実績を携え、現在ピクシーダストテクノロジーズで「薄毛治療のイノベーション」を進める星貴之氏に聞いた。

日医大との研究で、傷が早く治るだけでなく毛も生えた

星貴之氏
星貴之氏

「弊社の薄毛改善技術の源流は『超音波を用いた非接触振動圧刺激による創傷治癒の促進』研究にあります。これは日本医科大学との共同研究プロジェクトだったのですが、わかりやすく言うと『超音波で1gくらいの非接触の刺激を与えていると、傷が早く治る』という現象についての研究。マウスを用いた実験の過程で、傷の治癒だけでなく、超音波を当てていた部分の発毛も促進されることが発見されたのです。そこで、この技術を本格的に男性型脱毛症(AGA)の治療に使えないかと、アンファーをパートナーに研究を進めました」(星氏)

傷の治癒効果における研究から、偶然発見された「発毛促進効果」。ピクシーダストテクノロジーズは、アンファーと連携し、実際に男性健常者における発毛促進について臨床試験を行った。そこでは超音波による刺激によって、休止期毛が減り成長期毛が増えることが示唆されたという。

マウスの背中において発毛剤(ミノキシジル)と超音波による刺激による影響を確認した実験。3週間後、何もしない場合と比較してどちらも発毛が促進されていることが確認できる
マウスの背中において発毛剤(ミノキシジル)と超音波による刺激による影響を確認した実験。3週間後、何もしない場合と比較してどちらも発毛が促進されていることが確認できる

「男性健常者の左右の側頭部の一方に毎週1回、20分の超音波による非接触振動圧刺激を与え、もう一方は比較のため刺激をしませんでした。16週間後、超音波を照射した側頭部では照射していない側頭部と比較して休止期毛が約3割減少し、成長期毛が約1割増加するという発毛促進効果を確認することができました」(同前)

成人男性を対象とした実験
成人男性を対象とした実験

毛乳頭に刺激を与えて活性化

AGAは、成長期→退行期→休止期→成長期…のヘアサイクルのうち、成長期が短くなり、毛が十分成長しないまま抜けて生え変わってしまうことにより発症する。

「既にAGA治療に使われている発毛剤のミノキシジルも、私たちの超音波技術も、共通している目的は『毛乳頭に刺激を与えて活性化し、休止期から成長期に戻す』ことなのです」(同前)

昨秋にはこの技術を落とし込んだハンディサイズの超音波へアケア商品も実用化され、実際に手に取ったユーザーも現れ始めている。超音波美顔器のような従来の超音波技術とはどういった点が異なるのだろうか。

「従来の超音波美顔器などのデバイスは、超音波で振動する物体を直接皮膚に接触させて、皮膚の中に超音波振動を伝えています。イメージとしては、健康診断などでも使うエコー診断装置のような形です。一方でピクシーダストテクノロジーズの技術では、超音波の波動を皮膚表面に当てることで『触れることなくもみ刺激を与える』技術です」(同前)

複数のスピーカーから距離が離れた箇所にある紙が揺れている。超音波刺激により力が加わっていることがよくわかる
複数のスピーカーから距離が離れた箇所にある紙が揺れている。超音波刺激により力が加わっていることがよくわかる

非接触による刺激は、複数のスピーカーから発生した超音波が焦点を結ぶところで発生する。イメージとしては「太陽の光を虫眼鏡で集めて焦点を作る実験に近い」(星氏)。新技術ながら安全性にも十分配慮を行い、皮膚における発熱の可能性(超音波エコー診断装置の安全基準を十分に下回っているので問題ない)をはじめ、脳や聴力に対するダメージもないことを結論付けた。

複数のスピーカーから発生した超音波が焦点を結ぶイメージ図
複数のスピーカーから発生した超音波が焦点を結ぶイメージ図

「直接触れることがないため、マッサージなどとは異なり常に繊細で一定の刺激があたえられるほか、力が強すぎて炎症を起こしてしまう、といったリスクも少ないと考えられます。また、もともとは傷の治療のために研究が進められていた技術。非接触であるゆえに清潔であるという点も、メリットと言えます」(同然)

「非接触で花を揺らして…」実用化が進む超音波技術

超音波による非接触刺激を用いた技術は世界各国で研究が進められており、VR世界で触覚を再現するエンターテインメントなどでの用途や、自動車やAV機器などのガジェットの操作を何もない空中で行う研究など、実用化に向けた様々な研究が進められている。

「弊社が手掛けた中では『超音波で花を揺らして花粉を飛散させ、蜂がいなくても受粉する農場』など、さまざまなユニークな事例がありますが、中でも頭皮ケア・薄毛改善の用途での実用化は、より広いユーザーに弊社の技術・新しい世界の広がりを実感いただけるきっかけになるのではないかと思っています」(同前)

提供:ピクシーダストテクノロジーズ