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“学会”の活動に奔走、ネグレクトしたうえ自殺した母「可哀そうと思っていたが、今改めて怒りを感じる」宗教2世の娘

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genre : ニュース, 社会, 政治

父との不和もあり母は1日中泣いて暮らすように

母が言っていたことは、「悪いことをするな」とか、言葉のうえではすごく良いことを言っていたのですが、私はそれに縛られすぎてしまって、過剰に善人になろうとしてしまっていたので、生きていくうえでは、つらかったなと思います。とはいえ、いろいろな呪縛がかなり解けたいまでは、やはり悪人よりは善人でいようかなっていうふうには思いますし、差別的なことを教えこまれなかったのは良かったと思います。

母自身も、私たちに言い聞かせる内容のようなすばらしい人であろうと努力していました。でも、父の麻雀仲間に対して、非常に怒ったり嫌ったりしているのは、子どもの私にも伝わってきたんです。でもそれを言葉にしないから、母は結局、私が小学校高学年ぐらいから毎日毎日、ほんとうに24時間中で20時間ぐらいは泣いているような人になってしまいました。

そして中学生のとき母はみずから命を絶った

私が中学2年生のときに、母は結局、自殺をしてしまうんです。ですから、信仰のために良い人間であろうとしているのはわかるんですが、結局、そんなふうに人間はなりきれないという問題で、すごく葛藤していた人じゃないかという気がします

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母の不満のおもな原因は、父にありました。「信じるって言ったくせに一緒に信仰してくれなかった」ということは、ずっと恨みに思っていたようです。あとは、やはり母がお題目をあげていると、父は「そんなものを拝むんだったら、俺を拝め」と、酔っぱらっているからなんですけど、邪魔したりしていました。母はそれがすごく嫌そうでした。私が見る父の姿は、つねに酔っぱらいでした。とにかく父と母がまともに会話しているのを私はほとんど見たことがなくて。冷えきった夫婦だったと考えています。

母に殴られても「可哀そう」としか思えなかった

宗教2世には親を恨んでいる人も多いですが、私の母があまりにもいつも泣いていたから、どうしても悪く思えませんでした。母に突然、タオルを振りまわされ、殴られたことがありますが、母のほうが「とにかく被害者です、私は」という態度を見せてくるので、私は母のイメージ通りに自分が加害者のような気がしてしまって、良い子になれない自分が悪いと考えて、お母さんが可哀そうで可哀そうでしょうがなかったんです。それに、母はなんでこんな不幸なんだろう、母は可哀そうだと思っていた矢先に死んでしまったので、本当に可哀そうなのが確定してしまったんです。

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