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ですから、母に対して嫌いというマイナスの感情を持つことに時間がかかりました。母の被害者感情は父の不信仰だけに由来していません。教団内も関わっています。母は、「聖教新聞」を自分で配達する係だったり、あと、人前に立ってしゃべったりする役割だったんですが、そんなふうに仕事を押しつけられて、教団の活動が嫌で泣いていることもありました。そういうのを見ると、結局この人は学会を信じてもいないんだなとわかって、それで私はびっくりして。なんで信じてもいないのにそこにしがみつこうとするんだろうか、というのをずっと不思議に思っていました。

母親は学会を信じていないのにしがみついていた

母に対して「全部やめて、結婚もやめて、この人、逃げればいいのに」と思ったんです。でも教団外に人間関係がなかったんでしょうね。実家の家族も学会員ばかりになっていましたし。自殺する直前、母は毎日ひたすら泣いて、家出したこともありました。でも父がまったく「我関せず」で、平然と生きていたんですよね。だから私もあえて「お母さん大丈夫?」と声をかけるとか、母を気遣うとかといったことをせずに、何もなかったように過ごすという選択をしてしまいました。

その結果、母が亡くなったあとに、私が選んだ道はすべて間違いだったんだと思って、私が母の死に直接関わっているかのように感じて、とにかく苦しみました。

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母の死後も公明党への投票を要請された

創価学会員たちは、当然お葬式にも来ていました。死後に信者は誰でももらえるらしいんですけれど、賞状みたいなのを渡してくるという茶番がありました。「母は創価学会のせいで苦しんできたのに、こんなものをもらって何になるんだろう、まったく救ってくれなかったこの宗教ってなんなのか」と私は悩みながらお葬式に参列していました。そのあとは、学会員がしょっちゅう、うちに来るんです。なんとかの会合に行こうとか、聖教新聞をもう一回とってくれとか言うんですが、父がいると激怒して追いかえすんですね。

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