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genre : ニュース, 社会, 政治

そうしたら、その直後、夜寝ていたら突然、それまでは母のことをずっと可哀そう可哀そうと思ってきたんだけど、急に「子どもの前で家の中で死ぬな!」と、すごい怒りが湧いてきました。「そんな死ぬにしても子どもが第一発見者になるようなところで死ぬな!」と。そこから母のことも「可哀そうな人」じゃなくて、冷静にどんな人だったのか見つめなおしてみたいと考えはじめて、そうしたらやっぱり宗教の問題は避けられません。そこから、宗教2世に関するマンガをぼんやりと考えるようになりました。

普通の親子と混同されると宗教2世の苦しみはわからない

宗教2世のみなさんと自助会をしたり、インタビューをしたりして思ったのは、いまはまったく公助がなくて、すべて自助に任されている状態だということです。政治がやってくれることは充分ではありません。ならば民間がまずは頑張ってやっていくしかないのかなという状況ですが、絶望の反面、頑張るぞという気持ちもあります。

福祉職・心理職の人たちや精神科医といった、支援職の方々は、一度この宗教2世問題を知ってほしいなとは思います。宗教2世が置かれている現状について、新しい観点から見てほしいです。普通の親子関係の問題と混同されると、宗教2世の苦しみはなかなかわかってもらえないんじゃないかと思います。

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私は、宗教2世のためのオープンチャットをLINEで作っているのですが、やっぱり宗教に全然接点のない友だちが、「大丈夫なの? 宗教の人って怖いんじゃないの?」と心配してきたんです。宗教2世のことを、私自身は被害者だと思っているんですけれど、普通の人から見たら宗教1世も宗教2世も一緒なんだと実感しました。なんか知らないけどやばそうな人、怖そうな人、関わらないほうがいいよ、と世間は見ている。そこの誤解はなんとかして解いていきたいと思っています。

菊池 真理子(きくち・まりこ)
漫画家・宗教2世
代表作にコミック『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)、『毒親サバイバル』(KADOKAWA)、『依存症ってなんですか?』(秋田書店)など。『「神様」のいる家で育ちました』(文藝春秋)など自分以外の宗教2世を取材した作品もある。
“学会”の活動に奔走、ネグレクトしたうえ自殺した母「可哀そうと思っていたが、今改めて怒りを感じる」宗教2世の娘

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