その場合、医師が見ているのは目の前の患者ではなく、自分の今後の出世を握っている医局の上司です。
発売から20年経っている薬の副作用は予測可能
一方で教授のほうは、開発した新薬に関する講演会などに呼ばれて謝礼をもらい、新薬がいかに優れているかについてせっせと講演をするわけです。結局、新薬の利権に群がる人たちの餌食にされるのは、患者一人ひとりです。
当たり前の話ですが、発売されてから20年経っている薬というのは、20年飲み続けている人がいるわけですからデータが蓄積されており、どんな副作用が出るのかは予測可能なわけです。
一方、出たばかりの新薬は飲み続けて5年後、10年後の副作用はまったく未知数です。言うなれば、今回の新型コロナウイルスワクチンもこれと同じようなものですね。果たして5年後、10年後にどのような作用を及ぼすのか、まだ誰にもわかりません。
いずれにしても、高血圧の新薬についても、現在服用している薬で副作用が出て困っているとか、今の薬では血圧がうまく下がらない、というような人にだけ使えばいいのです。
ところが、莫大な費用と時間をかけて開発した薬ですから、製薬会社としてはできるだけ多くの患者に新薬に切り替えさせたい。そこには、国の医療費の増加だとか、患者の副作用のリスクなどに対する配慮は微塵(みじん)もありません。
「自分は何を優先したいか」伝える努力を
医師も患者も人間ですから、相性という問題もあります。Aさんにとっての名医がBさんにとっての名医とは限りません。自分から意見を言ったり希望を述べたりするのが苦手で、多少権威的でもグイグイと引っ張ってくれるような医師がいいと思う人もいるかもしれません。
きちんとした数値目標を掲げて少々毒舌でも厳しめに指導してほしいというような人は、そういう医師を探せばいいと思います。ですから、相性というのは非常に大切です。友人から「いい先生よ」と言われて受診してみたところ、なんだか頼りなくて不安になった、というようなこともあるでしょう。