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オウム脱会20年後の今も葛藤している…高校生で出家し一斉強制捜査も経験した宗教2世が心から願うこと

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会

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薬を使ったイニシエーション、覚醒剤のLSDを使ったイニシエーションがあったんですけれども、そのときはそんな薬を使っているものだとは知らないで、それを何回も受けてしまいまして、幻覚を見たり、記憶がなくなったり、暴れまわったり、自分が誰かわからなくなったり、そういう状況に何回も陥りました。それがまだ薬物だと想像さえできない10代前半、そういう子どものときに経験しています。オウムの信者がよく着けていたヘッドギアをかぶって修行したこともあります。強制捜査までに行われていた当時の修行は、ほとんど私はやっております。

オウムの教義を完全に信じてしまい母と共に出家

オウムと言えば、空中浮揚というのがあるじやないですか。よく写真が報道に出ていましたよね。やっぱりその、覚醒剤を使った修行をしたときに、そういう現象が起きたりとかはしました。幻覚を見たりとか、教わっていたことが私は見えてきたのでそれを信じてしまいました。集中修行のときに生きるか死ぬかとか、そういう状態になったときに光を見たりとかもあります。苦しいことを乗り越えたあとの達成感というんですか、すごくハイになったりとかそういう経験をしました。そういうのを体験したら、ますます脱会しにくくなります。教えがほんとうだと思いますから。

中学が終わって高校にはなんとか進学できましたが、やはり学校以外はほぼオウムの修行でした。勉強はほとんどできていなかったので、テストはいつも赤点でした。1995年1月についに出家をしました。その前も何度か出家をしようとしたんですけれども、どうしても私が嫌で逃げていました。財産を寄付して、その代わりにすべての衣食住の面倒を見ていただけるということになりました。

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「あなたのお母さんは終わり」と言われた

それまでの母と私の関係は、母が私の修行のアシストをしているような感じでした。出家をしたら親子の縁は切る決まりでしたので、出家当日に別れました。配属先が全然別なので、強制的に別のところになってしまいますし、親子の縁を切るというのは素晴らしいことだとされていました。母から「もうここであなたのお母さんは終わり」と言われて、「さようなら」と言って去ってしまいました。