文春オンライン

「寿命を延ばすのに効果的な食べ物」「運動能力を助ける食品成分」…健康食材の最新エビデンス

source : 提携メディア

genre : ライフ, ヘルス, ライフスタイル

健康寿命を延ばすためにはなにを食べればいいのか。東京大学大学院農学生命科学研究科の佐藤隆一郎特任教授は「2022年にPLOS Medicine誌に掲載された論文によると、寿命を延伸する最も効果的な食材は豆類だと報告されている。私も毎夕食に納豆1パックを食べることを習慣にしている」という――。(第4回)

※本稿は、佐藤隆一郎『健康寿命をのばす食べ物の科学』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Yuuji ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuuji

運動能力を助ける食品成分が増えている

身体ロコモーション機能維持のため、骨格筋量を増進する働きが期待される食品成分を含む製品はすでに販売されており、分岐鎖アミノ酸を豊富に含有した製品やタンパク質消化・吸収を上昇させる処理をした乳タンパク質を主成分とした製品などが挙げられます。

また、高濃度の多価不飽和脂肪酸(EPA/DHA)摂取、ビタミンD摂取、唐辛子成分のカプサイシン摂取が筋量増強に結びつくと報告されており、これらの成分を含む機能性食品の登場も予想されます。

私たちが発見した柑橘成分のリモノイド類(ノミリン、オバキュノン)、あるいは複数のトリテルペン類(オレアノール酸、ベツリン酸等)には骨格筋において筋タンパク質合成を促進する効果があります。加齢に伴い十分な運動を継続できなくなったときに、筋量維持のために「運動をする」のではなく、種々の機能性食品を摂り、「運動を食べる」ことが現実化しつつあります。

筋タンパク質合成を上昇させる成分を発見

筆者は2014年度から2018年度まで、内閣府が府省連携による分野横断的な取組を推進する目的で開始した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第1期でプロジェクトチームを組み、次世代農林水産業創造技術に関する研究を行いました。

次世代農林水産業創造技術推進委員会のプロジェクトディレクターは北海道大学大学院農学研究院・野口伸教授が務められ、私たちが所属するサブグループのディレクターは東京大学名誉教授の阿部啓子先生が務められました。