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スーパーキャッチも三振も…とにかく“必死”な日本ハム・江越大賀はチャンスをつかめるか

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/05/12

 5月6日、エスコンフィールドで江越大賀が見せたスーパーキャッチ! あれは凄かった。

 横っ飛びあるいは前にダイブして地面すれすれのキャッチならよくあるファインプレーなんだけど、真後ろにダイブしてのキャッチは滅多にない。スマホの中継動画では、ライトポール際のGAORA実況席から見ていた解説の金村暁さんも土井悠平アナも大興奮だった。

 3月30日に僕が座ったレフト側の2階席からあのスーパーキャッチを見たかったなあ。

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 新球場を舞台に「新時代」をスローガンに掲げるファイターズ。新戦力として期待される江越の打率.174(以下、記録は5月11日終了時点)はスタメン外野手の数字としては全く物足りない。とにかくバットに当たらない。スタメンで3回以上打席に立った10試合のうち7試合は2つ以上の「マルチ三振」を喫している。見逃し三振が嫌いな新庄監督の下、積極的に振れと言われていることは間違いないが、25三振のうち20は空振り三振だ。前を打つ上川畑大悟や伏見寅威もまた1割台に低迷しているだけに、ため息を深いため息に変える役割を江越が担ってしまう。その他、自打球で退場した今川優馬のカウント1-2から代打で出て空振り三振したが記録は今川に付いている。

江越大賀 ©時事通信社

「骨は折れたけど心は折れなかったので大丈夫」

 負けが込んだシーズン序盤、不調の五十幡亮汰と共に江越に対するファンの声は厳しかった。「この二人は去年のトライアウト(新庄監督は昨シーズンを《トライアウト》として全ての選手を使うと公言)を経験していないから今がお試し期間なのか」「今年は優勝だけを目指すというならおかしい」「塁に出られないなら守備代走要員でいい」といったネット上のコメントが目についた。

 新庄監督が特に期待して獲得した選手であることは間違いない。

「野球太郎プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2015」は、駒沢大学からドラフト3位で阪神に入った新人外野手をこう紹介している。《近未来のスター候補》《プロでも売りにできるほどの強肩と俊足。脚力を生かした広い守備範囲。ツボにハマればスタンドインのパンチ力とガッツあふれるプレー》。

 1年目は4月に初安打と初本塁打を記録。2年目は4試合連続ホームランを放つが、その後、21打席ノーヒットを記録するなど1軍と2軍を行ったり来たり。3年目はスイッチヒッターに挑戦するも打率1割にも満たず、4年目は右打ちに戻し……と試行錯誤。誰もが認める才能を持て余して阪神での8シーズンを過ごす。

 トレードで移籍した新天地では春のキャンプから溌溂とした姿が目を引いた。3月15日、エスコンフィールドのオープン戦初勝利をもたらすサヨナラヒット。新庄監督は「実は江越くん、骨折しているんです」と明かす。3月初め、練習中の死球で右手首を骨折していたのだ。「骨は折れたけど心は折れなかったので大丈夫」と出続けた江越は4月7日のオリックス戦でも死球を受けて今度は左肋骨を骨折。それでも一軍に居座り続ける。

 4月22日、宮城の楽天戦ではライトフェンスに跳ね返った打球を処理して強肩発動。二塁で打者走者を刺して上沢直之を助けた。5月2日、ベルーナドームの西武戦では、五十幡が初球に二盗、5球目に三盗を成功した直後の無死三塁。フルカウントから一発でスクイズを決める。「これが新庄野球だ」と見出しのつくような得点シーンになった。

 相変わらず三振は多いのだが、4月前半の3球~4球での簡単な三振ではなく、ボール球を見逃し、ファウルで逃げられるようになってきた。5月7日の楽天戦、荘司康誠に15球を投げさせて空振り三振に終わったがその粘りがあとの得点(矢澤宏太の犠飛)につながったように思う。調子を上げた五十幡が足を痛めて登録抹消になるとセンターのスタメンに収まった。

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