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「あれ着て野球やるの?」日本ハム・新庄監督デザインの赤黒ユニ、違和感から期待感に変わったワケ

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 僕の知人ではBEAMSのデザイナー、水尾旅人(たびと)さんの反応がいちばん早かった。LINE履歴をたどると2月21日、球団発表と同時に、写真添付で「新庄監督らしいデザインですね。戦隊ヒーローっぽい」というメッセージが入っている。写真は「新庄監督本人がモデルの赤黒ユニ」だ。今シーズン、5月13日からの5試合、「NEW AGE GAMES produced by SHINJO」と銘打ち、着用されることになった新庄監督デザインのユニフォーム。

 ※2月の段階では「ホーム5試合に着用」のみのアナウンスだったが、敵地のオリックス戦(5月19日~、京セラ)にもお目見えすることになった。尚、新庄監督は「6勝2敗ならもう一度着たい」と戦績次第ではこの先も引っ張る気満々だ。

新庄監督デザインのユニホームを着た選手たち ©時事通信社

第一印象は「新庄さん、やっちまったなぁ」

 水尾旅人さんはスポーツに造詣の深いデザイナーだ。プロ野球では東京ヤクルトスワローズのユニフォームを手掛けられ、僕自身は栃木日光アイスバックスのユニフォームデザインでお世話になっている。その旅人さんが赤黒ユニを褒めてくれた。ひと目見て、気に入ってくれたようだ。僕はえええー、マジっすかという感じだった。僕の第一印象は「新庄さん、やっちまったなぁ」なのだった。

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 正直、違和感があった。あれ着て野球やるの? 球団のリリースにも「かねてより新庄監督がイメージしていた『野球=ヒーローがカッコいいプレーを見せる』をテーマに制作。監督就任当初から青写真を描いていたユニフォームが、ついに誕生しました」「斬新なカラーは、闘争心をイメージした赤色と締め色で黒色をチョイス。胸元を中心に大胆にプリントされた『V』には、2つの意味が。『VICTORY』の頭文字と『少しぽっちゃりした選手もスタイルよくなる。目のマジック』と新庄監督ならではのこだわりが光っています」と、まさに旅人さんの指摘する、シュッとしたヒーロー像が想定されているようだ。

 が、本当にヒーロー感あるかなぁと心配になった。奇抜で、悪目立ちだ。僕の心のなかに棲む「高野連」みたいな部門(?)が、野球はオーソドックスなユニフォームで真面目にやるもの、と小言を言っている。まぁ、リリースの出た2月の時点ではだいぶ先のことでもあったし、それより直近に迫ったエスコンフィールド開業の方が大事件だし、いったん忘れていいかと思った。が、飛ぶように3月4月が去り、5月中旬が来てしまった。もう逃げられない。ファイターズはあのヤバいあれを着て、野球をするのだ。

 世間的には「ガソリンスタンド」と言われてるようだった。確かにつなぎっぽいデザインや、帽子の「F」マークがななめになってる感じはガソリンスタンドの従業員を連想させる。やがてファイターズの公式アカウントが乗っかって、「#ガソリンスタンド」をつけてツイートし始めた。こういうときのSNSの拡散は面白い。みんなどういうわけか「新庄デザインの日ハムユニ、ガソリンスタンドにしか見えないんですけどwww」みたいに、たった今自分が思いつきました感を出してくる。検索すると、たった今思いついた人がズラッと並ぶ。

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