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アメリカ人の熱狂ぶりに出演者が驚いた…「スーパー戦隊シリーズ」が米国で30年続く長寿番組になったワケ

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理由は品質の高さだ。バンダイアメリカの元マーケティング責任者であるトリシュ・スチュワート氏は、Netflix番組の中で、各レンジャーのフィギュアに触れている。

彼女は「おもちゃの素晴らしいクオリティーに、本当に驚きました」と語る。「ただただ美しかったんです。当時の(アメリカの)アクションフィギュアよりも大きく、関節のすべてが可動しますし、それは立派な造りでした」

のちに発売されることになった合体ロボットについても、「びっくりするようなものでした」と完成度を高く評価している。合金ダイカスト製の高品質で複雑な構造のおもちゃは、アメリカのおもちゃファンたちを虜にした。

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パワーレンジャーのフィギュアはアメリカで売れに売れた。ガーディアン紙は、「視聴率はうなぎ上りで、おもちゃの売り上げも瞬く間に予想を超えた」と振り返る。

バンダイアメリカのスチュワート氏はNetflixに対し、90年代全体を通じて考えても、おもちゃとして最大規模の生産量だったと語っている。当時、従業員30人未満だったバンダイアメリカを、一大企業へと押し上げた。

氏によると全米のオモチャ店で売り切れが続出し、毎日400件を超える苦情が殺到したという。特に93~94年の変身フィギュアは大ヒットし、クリスマスシーズンに向けて11の工場を新設したのに生産が追いつかないほどだったようだ。

人気ヒーローが漏らした撮影の裏側

シリーズは、レンジャー役のアメリカの俳優たちを、スターダムへと押し上げた。ガーディアン紙は、ブルー役を演じたデイヴィッド・ヨスト氏の、抜擢前までの生活を取り上げている。

ヨスト氏自身の発言によれば、氏はロサンゼルスの「家具もないマンションの一室に暮らし、床で眠り、TVは使い古しの段ボール箱の上に置いていました」との倹約生活だったという。

幸いなことに、ヒーロースーツに身を包んで戦う日々が始まると、この生活は3カ月で終わりを告げた。同紙の取材に応じたヨスト氏は、「40話を撮影し、ひとたび放送が始まると、説明もつかないことになったんです」と笑顔を浮かべる。

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