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アメリカ人の熱狂ぶりに出演者が驚いた…「スーパー戦隊シリーズ」が米国で30年続く長寿番組になったワケ

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一方で、人気に見合った賃金を得ていないと不満を漏らすメンバーもいた。アメリカ版において賃金での争いがあったことは有名だ。米CBSの情報番組「エンターテイメント・トゥナイト」は2015年、最終的に金額で折り合いのつかなかったレッドを含むメンバー3人が、早くもシーズン2で降板していたと振り返っている。

ブラックレンジャーを演じたウォルター・エマニュエル・ジョーンズ氏は、最後までメンバーに残ったものの、不満を訴えたキャストのひとりだ。週に6日、1日12~15時間働き、それでも放送後しばらくは収入が少なかった。愛犬と身を寄せ合ってジープで寝泊まりをする日々が続いたという。

2014年、オンラインメディアのハフポスト・イギリス版に対し、「あまり多くはもらえませんでした。シーズン1に関しては、マクドナルドのカウンターで働いていたとしても、おそらく同じ額を稼げたでしょう」と内情を明かしている。

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「スタントで何度も死にかけた」

アメリカ版でも一定のアクションが求められたが、健康保険なしに危険なスタントを課せられたことも問題となった。

現在は改善されているが、アメリカ版初代ピンク役のジョンソン氏はバラエティ誌への寄稿を通じ、「(俳優)組合のないTVシリーズで、給料は雀の涙にもかかわらず、低予算のスタントのせいで何度か死にそうになりました」とチクリと皮肉を向けている。

ただ、これには続きがあり、「(抜擢に)一生感謝します。本当に」とも彼女は述べている。その後女優として華々しい成功を収めるきっかけを切り開いただけでなく、当時は知らなかったが多くの女の子のファンも生んでいたことを誇りに思っているという。

「ピンクレンジャーとして過ごした時間は……数え切れないほどの小さな女の子たちを刺激し、男の子たちと同じくらいやんちゃになれるのだと、自信を持たせることができました。それ自体がプライスレスなことです」

パワーレンジャーの功罪という意味では、もうひとつ、人種問題との関わりがある。ガーディアン紙は、シリーズが伝統的にブラック役に黒人俳優、イエロー役にアジア系を起用していることに批判もあると指摘する。

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