28日(土)にまた田代平に入山した。捜索隊が多数入っているがタケノコ採りも多かった。ヘリが見当違いの方で往復していていた」
「体験談がテレビに出たので、妻には『ご先祖様から一回きりもらった命だから自重してケロ』と言われ、娘からは『また行くなんてバカだろ』と言われた。
あの時、勝てるとは思わなかったが、運がよかった。来年のタケノコ取りは、どうしようかと迷っている」
Aさんが襲われた後、笹藪に1人の婦人が入って行った、という話は驚いた。自分は安全だと信じきっているのだろうが、その信念はどこから来ているのだろうか。
Aさんの証言には次のような興味深いポイントがあった。
①笹藪に入った途端に獣臭がした(腐敗臭だったかもしれない、とも)
②熊の右鼻翼部に血糊か、あるいは出血があった
③左目上の額の古傷の存在
④20分間も1~1.2mの距離で対峙(たいじ)した
⑤視線をそらすと襲ってきた
⑥熊取平の規制線の先に子グマの糞があった
規制線の先……それは第2事故現場だ。親子熊がいたわけだ。
米田 一彦(まいた・かずひこ)
NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長
1948年青森県十和田市生まれ。秋田大学教育学部卒業。秋田県庁生活環境部自然保護課勤務。86年に退職し、フリーの熊研究家となる。多数の助成により国内外で熊に関わる研究・活動を行う。島根、山口、鳥取県からの委託によりツキノワグマの生息状況調査(00~04年)のほか、環境省の下でも調査を行ってきた。十和田市民文化賞受賞(98年)。日本・毎日新聞社/韓国・朝鮮日報社共催「第14回日韓国際環境賞」受賞(08年)。主な著作に『熊が人を襲うとき』(つり人社)、『山でクマに会う方法』(ヤマケイ文庫)、『クマ追い犬 タロ』(小峰書店)、『クマを追う』(丸善出版)、『絵本 おいだらやまの くま』(福音館書店)ほか多数。◎日本ツキノワグマ研究所
NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長
1948年青森県十和田市生まれ。秋田大学教育学部卒業。秋田県庁生活環境部自然保護課勤務。86年に退職し、フリーの熊研究家となる。多数の助成により国内外で熊に関わる研究・活動を行う。島根、山口、鳥取県からの委託によりツキノワグマの生息状況調査(00~04年)のほか、環境省の下でも調査を行ってきた。十和田市民文化賞受賞(98年)。日本・毎日新聞社/韓国・朝鮮日報社共催「第14回日韓国際環境賞」受賞(08年)。主な著作に『熊が人を襲うとき』(つり人社)、『山でクマに会う方法』(ヤマケイ文庫)、『クマ追い犬 タロ』(小峰書店)、『クマを追う』(丸善出版)、『絵本 おいだらやまの くま』(福音館書店)ほか多数。◎日本ツキノワグマ研究所