数回面談をする中で、抑うつ気分などの精神症状はありませんでしたが、「頼まれたことはやらなければならない」、「私なんかを頼ってくれる……」などなど、私にも彼女の硬過ぎる考え方や自己評価が低い性格が理解できるようになってきました。しかし、いずれも、疲労の蓄積の原因には結びつきませんでした。
「遅刻が怖いから」ベッドではなくソファで寝ていた
ある時、面談の中で彼女が「夜中に気がついたらテレビ放送が終わっていた」と話しました。そこで、彼女がベッドでテレビを見ているのではなく、リビングのソファで寝ていることがわかりました。さらに聞いてみると、少し前に1回、寝坊して遅刻しかけたことがあり、それ以降、朝起きられないのが怖くなり、ベッドではなくソファで寝ているといいます。ソファベッドや3~4人がけのソファではなく、2人がけのソファに寝ているとのことでした。
本来、人は適切な寝床で十分に寝ることで疲労から回復したり、体調を整えたりしています。そのため、ソファで寝ることが習慣化すると、睡眠の質が低下し、身体に悪影響を及ぼします。まず、ソファでは適切な寝姿勢をとることができず、布団やベッドほどは寝心地が良くないため、睡眠の質が悪化します。特に深い眠りの時間が短くなるため、疲労回復効果が得られにくくなり、睡眠障害の悪化などが懸念されてしまいます。また、ソファで寝続けることは、腰痛や肩こりなどの身体的な不調を引き起こす原因にもなります。
「ソファで寝る」判断をしている時点で心配だ
ソファでなくベッドや布団で寝ないと疲れが回復しないということは、多くの人がなんとなく知っていることです。
Bさんのような方に「ちゃんとベッドで寝ないと疲労は回復できませんよ」とか、「布団で寝た方が同じ時間でもぐっすり眠れますよ」とお伝えすると、必ず「わかっています」と答えます。しかしなかなかベッドで寝ようとはしてくれません。
遅刻が怖いから、遅刻しないためにソファで寝る。このような判断になってしまった時点で、すでに精神状況の悪化が始まっているのかもしれません。