川崎市の老人ホームで2014年、入所者3人が相次いで転落死した事件で、殺人罪に問われ、一、二審で死刑とされた元職員今井隼人被告(30)が最高裁への上告を自ら取り下げたことが15日、分かった。最高裁によると、取り下げは11日付で、死刑判決が同日確定した。
一審横浜地裁の裁判員裁判は18年3月、被害者3人は高齢で身体能力が低かったことなどから、事故や自殺の可能性を否定。被告は発生当時にいずれも夜勤担当だったとし、「被告による犯行との推認はかなり濃厚だ」とした。
逮捕前後の自白については、取り調べの録画映像などから信用性があると判断した。自閉スペクトラム症の影響はあったとしつつ、完全責任能力を認定。動機に関し、負担軽減のため入居者数を減らしたいとの考えや、転落者の救命措置で評価されたいという自己アピールの心理と指摘した。
二審東京高裁も22年3月、「事件の重大性、悪質性は際立っているとの一審の評価は相当」と述べ、被告側控訴を棄却。弁護人が上告していた。
確定判決によると、今井被告は14年11~12月、勤務先の有料老人ホームで、入所者の丑沢民雄さん=当時(87)、仲川智恵子さん=同(86)、浅見布子さん=同(96)=を4階と6階から転落させ、殺害した。
