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老人ホーム元職員、上告取り下げ死刑確定 3人転落死させた動機は「負担軽減のため」「救命措置の評価」と指摘

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会

死刑判決が確定した今井隼人被告=2015年9月、川崎市

 川崎市の老人ホームで2014年、入所者3人が相次いで転落死した事件で、殺人罪に問われ、一、二審で死刑とされた元職員今井隼人被告(30)が最高裁への上告を自ら取り下げたことが15日、分かった。最高裁によると、取り下げは11日付で、死刑判決が同日確定した。

 一審横浜地裁の裁判員裁判は18年3月、被害者3人は高齢で身体能力が低かったことなどから、事故や自殺の可能性を否定。被告は発生当時にいずれも夜勤担当だったとし、「被告による犯行との推認はかなり濃厚だ」とした。

 逮捕前後の自白については、取り調べの録画映像などから信用性があると判断した。自閉スペクトラム症の影響はあったとしつつ、完全責任能力を認定。動機に関し、負担軽減のため入居者数を減らしたいとの考えや、転落者の救命措置で評価されたいという自己アピールの心理と指摘した。

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 二審東京高裁も22年3月、「事件の重大性、悪質性は際立っているとの一審の評価は相当」と述べ、被告側控訴を棄却。弁護人が上告していた。

 確定判決によると、今井被告は14年11~12月、勤務先の有料老人ホームで、入所者の丑沢民雄さん=当時(87)、仲川智恵子さん=同(86)、浅見布子さん=同(96)=を4階と6階から転落させ、殺害した。

老人ホーム元職員、上告取り下げ死刑確定 3人転落死させた動機は「負担軽減のため」「救命措置の評価」と指摘

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