むろん、日本の不動産にも価格下落リスクはあるが、そこは「自分でじっくり不動産を研究し、注意するしかない」とA氏。現に、彼は約10年間の不動産投資で損をしたことは一度もなく、資産は増え続けている。
A氏にとって、日本は「第二の故郷」。日本が大好きで、今後も住み続けようと思っているので、そのためにも不動産を買い続けたいという。
中国人が感心した日本の不動産会社の気遣い
「私がメインで取引しているのは日本の中小の不動産会社、数社です。大手、中小とも日本の不動産会社はアフターケアがしっかりしていて、担当者も責任感があるので、私は日本の会社とつき合っています。
ある日、私が一人で物件を見に行ったとき、日本の不動産会社の担当者が『今日は、奥様はご一緒じゃないのですか。次は奥様と一緒にいらしてください』といったのです。
女性目線だとキッチンの位置、昼間の日当たり、ベランダの広さなど、細かいところに気がつくからで、後々揉めないためにも、物件は夫婦や家族と一緒に見ることがよいそうです。私はその話を聞いて、とても感心しました。
中国系不動産業者からは、こういった気遣いの言葉はあまり聞きません。中国系は売買のときの愛想はとてもいいのですが、アフターケアはあまりないので……。それに、担当者がすぐにやめたり、独立したりすることも多い。だから、私は日本の不動産会社とつき合っているのです」
かつてない「不動産の爆買いブーム」が起きる
22年10月、東京・御徒町にある不動産会社「Worth Land」代表取締役の杉原尋海(ひろみ)氏を訪ねた。
杉原氏は91年、上海市生まれの中国人だ。留学のため11年に来日して、すでに10年以上になる。専門学校を卒業後、もともと興味があった不動産業界に入った。まだ30代前半だが、年収は軽く1億円を超える。
物腰は柔らかく丁寧で、フットワークが軽く、日本語も流暢。そんな杉原氏によると、同社も他の中国系不動産会社と同じように、顧客の大半が中国人や在日中国人だという。