「コロナ前は中国各地で不動産セミナーを開き、超富裕層も含め、数多くの問い合わせがありました。実際に来日して不動産を買って帰る中国人が非常に多かったです。
コロナが始まり、彼らが来日できる機会が減り、今は在日中国人の顧客が多いのですが、状況が変われば、再び中国から来日する人が増えるでしょう。かつてないほどの『不動産の爆買いブーム』が起きるかもしれない、と予想しています」
購入制限が緩い日本が狙われている
中国の顧客が日本の不動産に感じている魅力は、欧米に比べて治安がよいこと、距離的に近いこと、そして、利回りが安定しているという点もあるという。杉原氏によると、一等地なら利回りは4%の物件もあり、4~6%が人気だ。
「日本は利回りが安定しているので、不動産を貯金のように捉えている中国人もいます。
中国人顧客は資産のリスク分散も目的としています。中国に全財産を置くことに不安があり、資産を分けて管理したいのです。欧米では外国人の不動産購入に制限がある国が多いですが、日本ではあまり規制がありません。だから日本でできるだけ多く不動産を買いたいと思っている人もいます」
日本に不動産があれば老後の住居の心配がない、日本は医療設備が整っていて、介護サービスなども充実していて安心なのも大きい、と杉原氏も語る。日本に留学中の子どものために不動産を買い与え、自分たちが来日したときに泊まりたい、と希望する親も多いそうだ。
豊洲のマンションは上海の「25m2ワンルーム」と同じ
日本で不動産を買える中国人富裕層とはどのような人々か。
杉原氏によると、「1億~3億円の現金をポーンと出せる人、1棟買いができる人です。(22年の)円安傾向で、彼らにとって日本の不動産の安さが際立ちました。まさにバーゲンセール状態。何しろ、日本のビル1棟は上海のマンション1室分の値段ですから」という。
筆者は、このほど上梓した『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)のプロローグで、豊洲のマンションを7000万円で購入した中国人男性について紹介しているが、上海在住の別の友人にその話をしたところ、「それはとても安い」と語っていた。