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「うちは紙ストローは作りません」岡山の日本一のストロー会社が「脱プラ運動」に真っ向から対抗した結果

source : 提携メディア

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日本一のストローメーカーを率いる磯田もスターバックスを愛用している。ただし、ドリンクを注文するときには必ず「プラスチックストローをください」とリクエストする。紙ストローの感触に違和感を覚え、おいしく飲めないという。

20~30分でストローがふやけ始めるため、ドリンクの味よりも口当たりの悪さに気を取られてしまう。それだけではない。薄紙がのり付けされていると想像すると、ドリンクの中にのりが溶け出すかもしれないと心配になる。

そもそも歴史的にはプラスチックストローの前に紙ストローが普及していた。ただ、防水のためにロウでコーティングされていたため製造に手間がかかり、大量の需要に応じきれなかった。プラスチックストローが普及したのは戦後になってから。消費者の間で「これだとおいしく飲める」と評判になり、大量生産・大量消費が始まったのだ

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人々が環境を守りながら豊かな生活を続けるためにはプラスチックストローが最適――これがシバセ工業3代目の哲学だ。(文中敬称略)

第16回に続く)

牧野 洋(まきの・よう)
ジャーナリスト兼翻訳家
1960年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクール修了。1983年、日本経済新聞社入社。ニューヨーク特派員や編集委員を歴任し、2007年に独立。早稲田大学大学院ジャーナリズムスクール非常勤講師。著書に『福岡はすごい』(イースト新書)、『官報複合体』(河出文庫)、訳書に『トラブルメーカーズ(TROUBLE MAKERS)』(レスリー・バーリン著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『マインドハッキング』(クリストファー・ワイリー著、新潮社)などがある。
「うちは紙ストローは作りません」岡山の日本一のストロー会社が「脱プラ運動」に真っ向から対抗した結果

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