【A】人の手、とくに切り傷にはよく、「黄色ブドウ球菌」がいます。黄色ブドウ球菌が先ほど説明した毒素を産生する菌なのです。熱いご飯を素手で握ってもし、黄色ブドウ球菌が付いてしまったら、増殖して毒素を作り食中毒につながります。おにぎりはラップや手袋を使って握ってください。
細菌による食中毒を防ぐ3原則は「付けない」「増やさない」「やっつける」です。自然解凍で食べられる弁当用の市販冷凍食品は、細菌を「付けない」条件をクリアし、弁当を低い温度に保つ、という点で「増やさない」に貢献しています。細菌の科学を理解し、お弁当を安全に食べましょう。
(本稿は、所属する組織の見解ではなく、ジャーナリスト個人としての取材、見解に基づきます)
〈参考文献〉
日本冷凍食品協会・自然解凍冷凍食品
東京都食品安全FAQ・弁当用そうざいの冷凍食品を冷凍のまま弁当に入れても大丈夫ですか?
花王・[くらしの現場レポート]家族の健康を守るため キッチンの意外な汚れに注意!
岡崎貴世,台ふきんと食器用ふきんの微生物汚染状況;四国大学紀要,B42:13-16,2015
西野由香里ら,都内で販売されている自然解凍冷凍食品の細菌学的調査;東京都健康安全研究センター年報,71:147-152,2020
内閣府食品安全委員会オフィシャルブログ
食品安全委員会調査事業報告書「加熱調理の科学的情報の解析及び画像の開発」
松永 和紀(まつなが・わき)
科学ジャーナリスト
京都大学大学院農学研究科修士課程修了。毎日新聞社の記者を経て独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域として、執筆や講演活動などを続けている。主な著書は『ゲノム編集食品が変える食の未来』(ウェッジ)、『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(光文社新書、科学ジャーナリスト賞受賞)など。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。
科学ジャーナリスト
京都大学大学院農学研究科修士課程修了。毎日新聞社の記者を経て独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域として、執筆や講演活動などを続けている。主な著書は『ゲノム編集食品が変える食の未来』(ウェッジ)、『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(光文社新書、科学ジャーナリスト賞受賞)など。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。