文春オンライン

「こんなええもん、もろてもよろしの?」はどんな意味か…京都人がよく使う"イケズな疑問形"の見極め方

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル

これに対して実家側は「仕事、そんなに忙しいの?」という返答をすることがあり得るとのことで、やわらかな言葉の選び方の中に、ちらりと見え隠れするほんのりとした悪意がとてもエレガントですね。直接ストレートな表現で応酬するのではなく、やんわりとした疑問で、その人が隠している真意を少しだけつつくという、コミュニケーション巧者同士でなくてはできない洗練されたやり取りが、こうした言葉の端々に感じられ、たいへん勉強になります。

また、仕事のクオリティーがもうひとつだな、という人に遭遇してしまったとき。「このお仕事、長いんですか?」と聞くのは、盛大なイケズになり得るようです。

わざわざ疑問形で確認されたら要注意

何度も使われる例ではありますが、「お代わりいかがですか?」「お茶、お取り換えしましょうか?」。それまでは何も言わずに入れてくだすっていたのを、「いかがですか?」とわざわざ問いかけられ始めたとしたら、それは「ご飯を食べ終わったあともぺちゃくちゃ長いことしゃべっていないで、そろそろお帰りくださいな」という気持ちを感じ取ったほうがよろしいでしょう、とのこと。京都式に慣れていなくとも、安全な対策は、まずこれを言われたら、とにかくさっさと帰ることです。

ADVERTISEMENT

さらに、まだお茶は飲みごろの温度のものが入っているのに、疑問文が発動されて、しかも取り換えられてしまったら、もうこれは要注意です。いい加減にせえよというニュアンスを感じ取らねばなりません。こうした「?」は、遠回しにイケズが盛り込まれていることが多いそうなので、覚えておいて損はなさそうです。

ただ、疑問形がポイントといっても、すべての疑問文がイケズになるわけではありません。「赤と白どっちにする?」とか「お砂糖いくつ入れます?」とか「明日の会合には出る?」とか、答えが即座にはっきり出る問いは、これには該当しないそうです。この、微妙なニュアンスの「?」を理解し、使いこなすのは、慣れていないとかなり難しいかもしれません。