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創業時のスタバは「カフェ」ですらなかった…スタバが世界有数のカフェとして成功した本当の理由

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 読書

車であればiPhoneの延長線上で考えて、なんとなく便益や独自性があるかもしれないですが、洗剤とApple社の既存製品はまったくつながらないため、便益や独自性が想像できません。結局、「よくわからない」という話になってしまいます。知名度や認知度があることで新しい提案をしたときに注目してくれる人は多くても、そこに便益と独自性が想起できなければ、やはり購買には結び付かないのです。

このような点では、一般消費者からあまり知られていない中小企業は、最初からお客さまに何かしらのイメージを持っていただくことができません。「あの○○社が出す商品」が通用しないということです。そうであるなら、中小企業はブランディングではなくプロダクトそのものの便益と独自性を際立たせることが何よりも大事だということになります。

逆にいうと、ブランド力があるといわれている企業が出すプロダクトは、便益と独自性がそれほどはっきりしていなくても、それなりに売れてしまうことも多いです。しかし、ブランド名が際立っていない中小企業は、最初からお客さまに期待してもらえませんし、むしろマイナスから入るときもあります。そうした企業が勝ち残っていくためには、プロダクトの便益と独自性を磨き上げる必要があるということです。

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スタバは、もともと豆を焙煎して販売するビジネス

このように、「ブランディング」とは、どんな便益とどんな独自性があるかがお客さまに伝わってはじめてできるものであり、ある意味では「結果」の産物といえます。たとえば、スターバックスコーヒーの「くつろげる場所」というイメージも創業当初からあったわけではなく、スターバックスがお客さまの反応を見ながら少しずつつくっていったものです。巷には、スターバックスのようにソファーを置いて店内を落ち着いた空間にしたり、スタッフにフレンドリーな接客をさせたりすればサードプレイスができる、それがブランディングだと語っている専門家もいますが、そんな単純なものではありません。

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