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「人工甘味料は体に悪い」は盛られすぎている…「アスパルテームの発がん性報告」に現役医師が訴えたいこと

source : 提携メディア

genre : ライフ, ヘルス, 医療

ガイドラインに載っている、人工甘味料の消費量が多い人と少ない人を比較したエビデンスの一覧表を見てみます(図表1)。

確信度が低いデータしかない

この表で一番大切なのは、右端の「確信度(Certainty)」です。確信度は「高い」「中等度」「低い」「非常に低い」の4段階で表すことになっていて、確信度が高いほどエビデンスがしっかりしているという意味です。

どうでしょうか? 「高い(High)」がひとつもありませんね。どうにか「中等度(Moderate)」がついているのが次の4点だけです。

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・空腹時血糖値には差がない
・HbA1c(糖尿病の指標)には差がない
・収縮期血圧には差がない
・拡張期血圧には差がない

後述しますが、このガイドラインは糖尿病と診断された人を対象外としています。つまりここで言う血糖値は糖尿病がない人の血糖値ですから、そもそも下げる必要がありません。血圧を下げるために人工甘味料を使うという考えはこれまで聞いたこともありませんでした。だからこんなデータは本質的ではなく、どうでもいいのです。

「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」が多い

ほかの項目はすべて「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」です。

・全死亡率が増えているように見える
・心血管疾患(CVD)が増えているように見える
・CVDによる死亡率が増えているように見える
・脳卒中が増えているように見える
・膀胱がんが増えているように見える

これらの項目を見ると、人工甘味料には深刻な悪影響があると思ってしまうかもしれませんが、あくまで、確信度が「低い(Low)」か「非常に低い(Very low)」データばかりです。

だとすると、話はかなり不確かです。

がんによる死亡数には差がない

人工甘味料の発がん性についてもWHOは評価しています。

・がんによる死亡数には差がない
・がんの診断数には差がない
・膀胱がんの診断は増えているように見える(オッズ比1.31)