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《重度やけどで予測死亡率97%》京アニ放火事件・青葉真司被告を治療した主治医は「後悔してほしい」

「一命を取り留め、法廷の場に出られるまでに回復したのは奇跡的です」

 そう話すのは、犠牲者36人を出した京都アニメーション放火事件の青葉真司被告(45)の主治医だった上田敬博医師だ。

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上田氏が今でも頭から離れない青葉被告の言葉

 事件は2019年7月18日、京都市内にある京都アニメーションの第1スタジオで起こった。青葉被告がガソリンを撒き放火。死者36人、重軽傷者32人を出す惨事となった。

2020年に建物は解体された

 火をつけた青葉被告も、生死の境をさまよう深刻な状態だった。全身の9割に重度のやけどを負い、意識不明。当時、近畿大学病院で、青葉被告の治療に当たったのがやけど治療のスペシャリスト上田医師だった。

 当初の予測死亡率は「97%」。

 上田氏は、事件直後から約4カ月にわたり青葉被告の治療を行った。その上田氏が明かす。

「青葉被告は、事件から約3カ月後には人工呼吸器を外し食事ができるまでに回復した。午前中と夕方の2回、会話をするようになった」

 上田氏は青葉被告の言葉が今でも頭から離れない。

「なんで自分みたいな低(てい)の低の人間に尽くしてくれるのか」

 青葉被告はこう繰り返した。

「彼を特別扱いしているわけではないと伝えました。極度の偏食で病院の食事を受け付けずインスタント麺や市販の惣菜を欲しがっていた青葉被告ですが、看護師が『好き嫌いするな』と怒ったんです。その後、退院間際には病院食を全量摂取するようになっていた。僕らからしたら当たり前のことをしていただけですが、彼にはこれまでそうやって正面から向き合ってくれる人間がいなかったのかもしれません」(上田氏)

 現在、青葉被告は医療態勢の整った大阪拘置所に勾留されている。

「青葉被告の状態に何か問題があれば、大阪拘置所の医療チームから連絡があるはずだが、問い合わせもない。健康状態が安定しており、裁判にも耐えられるということでしょう」(同前)