「社会復帰できたら、二度とこのような過ちを犯さないようにしたいです」
7月31日、東京地裁の512号法廷。短髪に黒いTシャツ、モスグリーンのハーフパンツ姿の宮沢優樹被告(22)は、ずんぐりとした体を丸め、消え入りそうな声で証言した。「ルフィ事件」を解明するキーマンの一人は、いかに悪党の走狗と成り果てたのか。
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京都市の貴金属店強盗事件にも深く関与
司法担当記者の解説。
「宮沢は昨年4月から6月にかけ、特殊詐欺の“受け子”として暗躍。正体不明のルフィの指示を受け、警察官や金融庁職員等に成りすまし、高齢者宅を訪れてはキャッシュカードを騙し取っていました」
宮沢は昨年5月2日、ルフィ一味が特殊詐欺から手荒な強盗に舵を切る転機ともなった、京都市の貴金属店強盗事件にも深く関与。
「事件後、宮沢は岐阜県のコインロッカーに移されていた京都事件の被害品、ロレックスなど腕時計11点を新幹線で東京まで持ち運び、換金役に渡した。さらに買取店などで換金された約100万円を回収し、ルフィが指示する先に振り込んでいました」(同前)
指定された口座は、りそな銀行札幌支店の「イマムラキヨト」名義。
「この口座はめくれない(バレない)から」
宮沢にそう説明していたルフィの正体こそ、今年2月にフィリピンから移送されたルフィグループ幹部の一人、今村磨人被告(39)本人だったのだ。
「あいつには絶対金を貸すな」同級生の間で警告が回り始める
宮沢は東京都板橋区で育った。祖父、母親と3人暮らし。子供の頃は溌溂とした野球少年で、地元の小中学校を卒業後、都内の私立高校に進学。友人が語る。
「あだ名は“ミヤジ”。ヒップホップが好きで、ムードメーカー的な存在。友達が多く、同期や後輩からも慕われていました」