ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年死去、享年87)の性加害問題を巡り、8月29日、事務所が設置した「再発防止特別チーム」が記者会見を開いた。約3カ月に及ぶ調査の結果、ジャニー氏による性加害があったことを認定。被害者への救済策を打ち出すこと、ガバナンス強化のため藤島ジュリー景子社長(57)の辞任などを提言した。
「週刊文春」は同日、スクープ速報でジュリー社長が辞任する意向を固めたことを報道。これにより、60年にわたり続いたファミリービジネスは終焉を迎えることが決定的となった。
日本ではずっと黙殺され続けてきたジャニー氏による性加害問題。今年3月に英BBCが報じるまで唯一、正面から取り上げたのが「週刊文春」だった。小誌は1999年10月から14週にわたってキャンペーン報道を展開。被害を受けたジュニアたちの告発をもとにジャニー氏による性的虐待の実態を明るみに出した。
キャンペーン報道が始まった直後の99年11月、ジャニー氏と事務所は小社・文藝春秋を名誉毀損で提訴。2002年3月の東京地裁判決は、主要な9つの争点のうち、ジャニー喜多川氏の「性加害」ほか5件の真実性・相当性を否定。小社にジャニー喜多川氏へ440万円、ジャニーズ事務所へ440万円の支払いを命じた。
双方が控訴して迎えた03年7月の高裁判決は一転、東京地裁判決が認めなかったジャニー喜多川氏による「性加害」の真実性を認めた。ただしジュニアらが日常的に飲酒、喫煙をしていること、ジュニア4人が起こした万引き事件をジャニーズ事務所とテレビ局が封印したこと、所属タレントが冷遇されていること等については、一審に続いて真実性・相当性を認めず、小社にジャニー喜多川氏へ60万円、ジャニーズ事務所へ60万円の支払いを命じる判決を下した。ジャニー喜多川氏とジャニーズ事務所は、高裁判決を不服として上告したが、最高裁はこれを受理せず、04年2月に高裁判決が確定した。
ジャニーズJr.への性加害が注目される発端となった小誌のキャンペーン報道はいかなるものだったのか。今回、全てのきっかけとなった記事を期間限定で特別に無料公開する。
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六本木「アークヒルズ」にあるジャニー喜多川氏の自宅は、ジュニアたちから「合宿所」と呼ばれている。少年たちが泊まるからだ。が、この場所を彼らは別名「悪魔の館」とも呼ぶ。なぜなら、ここに泊まると、夜、ジャニー氏が忍びこんでくるからだ。おぞましい目的で。(初出:1999年11月11日号「週刊文春」 年齢・肩書き等は掲載当時のまま)
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元ジャニーズJr.(ジュニア)の少年が言う。
「六本木の合宿所は『悪魔の館』と言われています。デビューできれば天国ですし、できなければ地獄行き……」
この「合宿所」とは、港区六本木のアークヒルズにあるジャニー喜多川(本名・喜多川擴=68)・ジャニーズ事務所社長の自宅のことである。
ジャニー喜多川氏が、高層マンションの24階にある自宅にジュニアの少年たちを招き、泊まらせることから、少年たちは、この部屋を「合宿所」と呼んでいるのだ。しかし、そこで行われているのは、いわゆる教育的な「合宿」ではない。
この1月に、ジャニーズ事務所は、飲酒と喫煙、乱交パーティーへの参加が報じられたジュニアの少年4人を解雇した。4人が警視庁少年一課の事情聴取を受けたことがそのきっかけだったが、冒頭のグラビアからもわかるように、ジュニアの少年たちの喫煙は常習化している。
特に合宿所では、ジュニアたちの煙草の買い置きがあったり、封を切った煙草の箱が洗面所の引き出しに入っていたりと、誰でも自由に吸うことができるし、ジャニー喜多川氏が、少年たちの喫煙を咎めることもない。
この4人の場合、たまたま問題が表沙汰になったからクビを切った。これでは、教育的措置とは言えまい。小誌がグラビアで指摘した現役の少年タレントに対しても、同じ対処ではすまされない。
学校で「事件」が起これば、まず校長が謝罪する。ジャニーズ事務所とて同じではないか。