2018年に「サステナブル宣言」を発表し、全社を挙げてSDGsに取り組んできたファンケル。プラスチック削減のためにいま取り組んでいるのが、使用済み容器のリサイクルプログラムだ。
ブルーのボックスが「リサイクル」の目印

「美」と「健康」、その二つの領域で多くの人に愛されているファンケル。店舗に入ると、多彩な無添加化粧品やサプリメントなどの健康食品が美しくディスプレーされている。
そのレジカウンターのそばに、見慣れないブルーのボックスが置かれていた。箱の正面には「RECYCLE HERE!」の文字が……。
「ファンケルでは、化粧品の使用済み容器を回収しているんです。お店までお持ちいただいたお客様には、お買い物アプリにポイントもつくんですよ」
なんだろうとボックスを眺めていたら、女性スタッフが説明してくれた。「FANCL リサイクルプログラム」だそうだ。回収されたプラスチック容器は、分別、洗浄し、乾燥、粉砕して、資源として植木鉢に生れ変わるという。
「ファンケルの化粧品は無添加ですので、品質を維持するために容器が小ぶりなんです。ですからどうしても捨てる機会が増えてしまいます。捨てるのにはちょっと抵抗があるので回収してほしい。そういうお客様からの声は以前からたくさんありました。そこで、この取り組みを始めたんです」
4つの「R」でプラスチックを削減
廃プラスチックの問題は国際的な課題だ。現在、毎年800万トン以上の廃プラスチックが海に流入しているといわれている。SDGsゴール14「海の豊かさを守る」ためにも、プラスチックの資源循環は積極的に推し進めなければいけない。2018年、いち早く「サステナブル宣言」を発表したファンケルらしい取り組みだ。
このリサイクルプログラムについて、ファンケル サステナビリティ推進室の山本真帆室長に話を聞いた。

山本真帆さん
通信販売の販売企画などの部署を経て、2020年3月よりSDGs推進室長(現在はサステナビリティ推進室長)。2022年6月より執行役員。
「容器包材のプラスチック削減には、“4R”で取り組んできました。1つ目が“リデュース”。容器の厚みを減らしてプラスチックの使用量を削減する。2つ目が“リユース”。レフィル化つまり中身の詰め替えですね。3つ目が“リニューアブル”。植物や再生由来のプラスチックといった代替素材の採用。そして4つ目が、容器の“リサイクル”です」
リサイクルプログラムがスタートしたのは2021年の7月。最初は東京と神奈川の直営店6店舗での実施だった。それが、2023年8月現在、全国の直営店160店舗にまで広がった。
「店頭に回収箱を置くだけではダメなんです。スタッフがこのプログラムの意味をちゃんと理解し、それをお客様にきちんと説明することが大切。そうすることで、厳選されたプラスチックの資源が集まる。直営店でお客様としっかり会話できるというのが、弊社の強みですね」

ファンケルが大切にしている想いは、「自分たちの手でできることは自分たちの手で」だと山本室長は言う。「お客様への説明もそうですし、回収した容器の分別や洗浄も特例子会社の『ファンケルスマイル』が行っています」。
障がいをもつ人たちの自立支援のために設立された特例子会社「ファンケルスマイル」。従業員はリサイクルの仕事に積極的に取り組んでいる。自分たちの仕事が環境保全につながっているという貢献実感が、仕事のモチベーションになっているのだ。



「リサイクルでつくられた植木鉢はすべて自治体や学校に寄贈し、地域貢献につなげています。本当は回収した容器を再び化粧品容器にリサイクルする“水平リサイクル”が理想なのですが、これは技術的にかなり難しい。これからの課題ですね」
サステナブル宣言で“未来を希望に”というスローガンを掲げたファンケル。従業員だけでなく、お客様や地域の人たちとともに手を取り合って、未来の「希望」をつくっていこうとしている。
提供:株式会社ファンケル
photograph:Atsushi Hashimoto(portrait)
