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フジ日枝久氏は「10人が何言おうが、事実かどうかわからない」ジャニー喜多川氏“性加害” 黙殺を続けた“共犯”テレビ局の忠誠ランキング

 9月7日、ジャニーズ事務所は記者会見を開き、故ジャニー喜多川の性加害問題への対応を表明。ジャニー氏の性加害を認めた上で、藤島ジュリー景子社長(57)の社長退任、東山紀之(56)が新社長に就任することを発表した。一方で同会見内では、代表取締役としてジュリー氏は残留、「ジャニーズ」の名称も存続することを明らかにするなど、その経営方針に疑問の声も上がっている。

 ジャニー氏の性加害問題については、とりわけ日本では「週刊文春」が率先して報じてきた。世間の流れを変えるきっかけとなった記事を期間限定で特別に無料公開する。(初出:週刊文春 2023年5月25日号 年齢・肩書等は公開当時のまま)

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「この件については番組で話し合って、私が話します」

 

 5月15日、『news zero』(日テレ)メインキャスターの有働由美子はこう前置きし、ジャニー喜多川氏の性加害問題を語った。同番組キャスター櫻井翔はニュースの間、画面に映ることはなかったが、ジャニーズタレントが出演する番組が初めて踏み込んで報道した瞬間だった。

 テレビ局は長年、性加害問題を無視し続けた。性加害を報道した小社をジャニーズ事務所が訴えた裁判で、2004年、記事の真実性が認められた判決が確定した際も、これを黙殺した。

 これまで犠牲者が増え続けた背景には、沈黙を続けたメディアという“共犯者”の存在がある。事態が動き出したのは、カウアン・オカモト氏の会見から。藤島ジュリー景子社長の謝罪は何度も放送された。だがその扱い方には濃淡がある。

 これまで事務所に“忖度”し続けたテレビ局。この問題をどう報じたかで、局のジャニーズへの忠誠度が測れるのである。

 最も積極的に報じてきたのがNHKだ。カウアン氏の会見はもちろん、ファン有志の団体が署名を事務所に提出したこともニュースに。5月17日には看板番組『クローズアップ現代』で大々的に取り上げる。

 TBSはカウアン氏の会見にカメラを出さなかったが、後に小川彩佳がメインキャスターの『news23』では、カウアン氏に取材。「私たちの番組ではお伝えしてこなかった」と、反省の弁を述べる場面もあった。

2週続けて問題を報道した小川

忠誠ランキング上位を見てみると…

 次は日本テレビ。『news zero』のほか、『DayDay.』では武田真一アナが、報じる側の責任問題にも踏み込んだ。

「日テレには、問題が収束しないまま、なにわ男子が『24時間テレビ』のメインパーソナリティーに就任したことへの苦情が400件近くも届いた。それも影響したのでは」(日テレ社員)

 実はこの3局、小誌に実名で告発した橋田康氏にも取材をしているという。会見や事務所から与えられた動画を流すだけでなく、被害者の声を届けようとする姿勢が窺えるのである。

 忠誠ランキング上位を見てみると、『ミュージックステーション』などジャニーズタレントが出演する番組を抱えるテレ朝が来る。『羽鳥慎一モーニングショー』では玉川徹氏が、ジュリー社長が謝罪したのは「とても大きなこと」とヨイショ。『報道ステーション』でも、大越健介キャスターが「被害者らの思いをまずはしっかりと受け止めて」と語るにとどめた。

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