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「破ったら賠償請求のペナルティー」“口封じ”メールに現役社員も疑問…ビッグモーター「焦りの一手」か

source : 提携メディア

genre : ニュース

 

ビッグモーターの幹部が社員らに送った1通のメールに波紋が広がっているーー。

「メールやパソコン等をモニタリング…」

メールのタイトルは“秘密保持に関する誓約書”。

 

“パワハラ”や“会社の不正”が社員らの証言で次々明らかになるなか、ビッグモーター側は内部情報の保持を求める誓約書を9月15日までに提出するよう求めたのだ。

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メールには「(内部情報の流出で)当社に対する社会からの評価が必要以上に低下してしまう状況となっています」と記載されている。

 

メールに添付された文書には、秘密保持の範囲や調査方法などについても細かく記載。

「皆さんが勤務中に知った業務に関する情報は全て秘密情報にあたる」
「電子メールやパソコン等を確認、調査又はモニタリングすることがあります

 

さらに、会社を辞めた後も秘密を守る必要があるとした上で、破って会社にダメージを与えた場合、“懲戒処分や損害賠償請求のペナルティーを受けていただく“としている。

このメールを受け取った現役社員のAさんはFNNの取材にこう話す。

 

現役社員Aさん:
内部リークが出ることを恐れていることや、自分たちがやってしまった過ちをさらに隠そうとしていることに疑問を感じます。

強制させて書かせる行為は、今までのビッグモーターと何にも変わらないです。

公益通報制度の事前抑制につながる可能性も…

こうした秘密保持の誓約書の提出を半ば強制することについて、橋下総合法律事務所の溝上宏司弁護士は「入社時に入社するかどうかの判断権が従業員側にある段階で締結してくださいということは、あり得るかなと思いますけど、すでに入社している従業員に対し、何か不利益を課すということであれば、大変問題のある行為ではないか」と解説する。

 

一方で、仮にサインをした場合は、法的な拘束力が生じてしまう可能性を指摘。
溝上弁護士は「(従業員の)心理的影響は大きなものだと思いますので、公益通報制度の事前抑制にもつながりかねない」と話す。