9月7日に行われたジャニーズ事務所の記者会見以降、スポンサーの“ジャニーズ離れ”に歯止めがかからない。
東京海上日動は「人権尊重の観点で、いかなる形態のハラスメントも認めない」として現在の広告契約について解除を検討。日本航空も今後も適切な対応が取られるまでタレントを広告に起用するのを当面見送ることを決めた。飲料大手のアサヒグループHDは「人権侵害を助長しないため」という理由から新たに起用はしないと説明。キリンHDも「現在起用しているタレントの契約満了をもって今後起用しない」との方針を固めた。
「週刊文春」は今年5月、藤島ジュリー景子社長(当時、57)が性加害問題について謝罪する動画を公表した直後にスポンサーアンケートを実施。ジャニーズタレントがCM出演している116社をリストアップし、「ジャニーズタレントをCMなどに起用することで、性加害を容認する企業イメージを国内外でもたれかねないことに対する見解」などを尋ねた。
以下に紹介するのは、あくまでも今年5月時点での各社の回答だ。しかし取引先企業のジャニー喜多川氏による性加害問題への姿勢を考える上で参考になると判断し、今回、特別に当時の記事を無料で公開する。(初出:週刊文春 2023年6月1日号 年齢・肩書等は公開当時のまま)
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「知らなかったではすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」
5月14日、ジャニー氏の性加害について動画と文書を公表したジュリー社長。彼女の説明をスポンサー企業はどう受け止めたのか。
小誌は、ジャニーズタレントがCM出演をしているスポンサー企業など116社をリストアップし、緊急アンケートを実施。質問したのは以下の3点だ。
(1)ジュリー社長の動画と文書は、十分な説明責任を果たしていると思うか。
(2)事務所が性加害問題について、第三者委員会を設置しないことへの評価。
(3)ジャニーズタレントをCMなどに起用することで、性加害を容認する企業イメージを国内外でもたれかねないことに対する見解。
嵐・松本潤を起用する第一三共ヘルスケアのように「担当者が全員不在」と説明し、無回答の企業もあったが、96社が期限までに回答を寄せた。このうち「回答を控えたい」などとしたのは56社。だが、厳しい見解を示したスポンサー企業も少なくない。
ジュリー氏の説明に疑問を投げかける企業も
ジャニー氏の性加害に関する見解を尋ねた4月27日発売号のアンケートで「ウチとは関係ない」と口を噤んだ伊藤ハム。嵐・二宮和也をCMに起用するが、今回は打って変わって、
「いかなる性加害についても、これを容認するものではなく、報道されている内容が事実なら大変遺憾です」
同じく二宮らを起用する日清オイリオグループは、
「現時点では一連の説明が終わったと判断しておらず、引き続き、同事務所に対応を求めてまいります」
嵐・相葉雅紀を起用するエバラ食品工業も、
「人権尊重は企業責務であり、いかなるハラスメントも容認しません。早期に事実を明らかにし、原因究明と再発防止策が必要です」
なにわ男子・藤原丈一郎をCMに起用する日本生命は、ジュリー氏の説明に強い疑問を投げかけた。
「一部の報道を見る限りではありますが、仮に世間に対して十分な説明責任が果たされているのであれば、今日の報道状況や、今回のような取材をお受けすること(状況)には至っていないのではないかと思います」