保険金不正請求問題などで創業者が辞任した中古車販売大手「ビッグモーター」。店舗前の街路樹が枯れていた問題で警視庁は8日、器物損壊などの疑いで都内9店舗を家宅捜索した。警視庁担当記者が語る。
「警視庁の捜査員はスーツ姿で列を作りながら都内の店舗に一斉に入っていきました。大量の段ボール箱を持ち込み、書類だけでなく、草刈り機やスコップなどの園芸用品も残さず押収。特にスコップについては押収前に店舗内で捜査員が念入りに調べていました」
本社の指示はどこまで具体的だったのか
捜索は6日に神奈川県内のビッグモーター3店舗に同様の容疑で捜索に入った神奈川県警に続くもの。さらに1日前の5日には東京都が各店舗の前の土壌から除草剤成分が検出されたとして、器物損壊容疑で被害届を出しており、今回の捜索はこの被害届を受けてのものとみられる。
「街路樹を枯らしても普通は個人のいたずらで済みますが、今回は会社ぐるみで『環境整備』のために幹部らが各店舗に要求していた疑いがある。国内史上最大の街路樹枯死事件といえるかもしれません。除草剤が原因なのか。本社の指示はどこまで具体的だったのか。それ次第では当時の幹部までが刑事責任を問われる可能性は十分あります」(同前)
街路樹の枯死問題はビッグモーターが自動車保険を不正請求していた問題が紛糾する中で発覚した。不正請求自体は2022年春ごろに内部告発を把握した損害保険大手がその後、ビッグモーターに調査を要請。23年7月に同社の特別調査委員会の報告書が保険金請求で「不適切な行為があった」と認定したことなどにより当時の兼重宏行社長が辞任した。