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一方、昨年来の急激な円安傾向は、海外店舗売上の円換算で大きくプラスに働いています。さらに中国はじめアジア地域では賃金が上昇傾向にあることからメニューの値上げも実施され、この地域での営業利益が前年比で約4倍にも増加したことが今回の決算に大きく寄与しているのです。

サイゼリヤの歴史を紐解くと、1967年に創業者で現在も会長を務める正垣泰彦氏が、東京理科大学物理学科在学中に始めたイタリアンレストランがその発祥です。集客に苦しんだ創業当時、メニュー価格を一斉に7割下げたことで繁盛店に転じ、その後の多店舗展開の基礎を築きました。この経験から、「安い価格で美味しい料理を提供する」という基本方針を固めます。

以来、現在に至るまで、ミラノドリア300円やグラスワイン100円などの破格の低価格メニューを貫き、これを徹底して守ってきているのです。

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サイゼリヤを急成長に導いた2人の経営者

試行錯誤を経てチェーン展開を軌道に乗せた正垣氏は、株式の公開を機に同社の成長期に経営パートナーとして、外部人材をスカウトします。京都大学大学院農学研究科を修了し、味の素で開発を担当していた、堀埜一成氏がその人でした。

野菜を自社で育成する飲食と農業のタイアップにより事業の川上から川下までを一貫管理して、コストを抑えつつ良質なメニューを届けるという正垣氏の理想を実現できる人材として、正垣氏自ら引き抜いたのだといいます。堀埜氏は2000年にサイゼリヤに入社、09年には正垣氏の後を受けて二代目社長に就任し、二人三脚でサイゼリヤをさらなる成長軌道に乗せたのです。

コロナ真っ只中の時期に「ランチ外食も控えてほしい」とした時の大臣に対し、「ふざけるなよ」と発して一躍有名になった堀埜氏ですが、社長としての功績は決して小さくありません。その最大のものは、海外を含めた工場およびセントラルキッチンでの食材処理を進め、基本的に包丁やガスレンジを使わない店舗運営を実現し、キッチンスペースを半減させることで店舗内客席数を拡大したことです。