このインスリン分解酵素の無駄づかいが大問題なのです。
「アミロイドβ」という脳のゴミが溜まり、神経細胞が破壊されることで、アルツハイマー型認知症を発症すると考えられています。
このアミロイドβを分解する役割をインスリン分解酵素が担っているからです。
糖尿病になると、インスリン分解酵素が無駄づかいされ、アミロイドβの分解にまで十分に回らないため、アルツハイマー病が進行してしまう可能性があります。
このことを裏付けるように、全世界の糖尿病患者とアルツハイマー病患者を対象にした研究(Rotterdam Study、1999年)では、糖尿病によってアルツハイマー病の発症リスクが2倍以上に増加することが明らかになっています。
「不定愁訴」の原因にもなる
不眠により脳に負担がかかると、「脳過労」状態になり、さまざまな心身の不調を引き起こします。
その症状は、頭痛やふらつき、身体の痛みなど、多岐にわたるため、一般の病院では見過ごされてしまうことも少なくありません。
結果、適切な治療が受けられないまま、長い間症状に悩まされることもあります。
不眠が原因で起こる心身の不調として、頭痛やうつ状態、のどや舌の痛み、めまい、自律神経失調症、パニック障害などがあります。
外から見ただけではわからないことも多く、単に「精神的な問題」として片付けられることもよくあります。
こうした客観的に原因が特定できない症状を「不定愁訴」と言いますが、本当の原因は睡眠不足である場合も多いのです。
睡眠不足で原因不明の痛みが出ることも
脳の前頭葉には痛みをコントロールする機能がありますが、睡眠不足が続き、前頭葉の働きが低下すると、痛みに過敏になることがあります。
痛みや刺激は、皮膚や筋肉、関節など身体の末梢部分から、脊髄の後角に伝えられます。
脊髄の後角には、どの程度痛みを脳に伝えるかを調節する関門(ゲート)があります。身体に起こった強い刺激を有害なものだと判定すると、ゲートが開き、強い痛みの信号が脳まで届くのです。