いい医者を見極めるにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「大学病院に罹ると大量の薬が投与され、薬の多剤併用の副作用が出てしまうため、70歳以上の高齢者は原則的に行くべきではない。患者がベストな治療を受けるためには、医者を信じすぎずに自分の症状や投与された薬の副作用など最低限は学び、医者を質問攻めにすることだ」という――。
※本稿は、和田秀樹『病気の壁』(興陽館)の一部を再編集したものです。
高齢者は大学病院にはいかないで
医療の常識といえば、高度医療を提供する大学病院にいけばベストな治療を受けることができると妄信している人が目立ちます。でも本当にそうでしょうか?
とくに70歳以上の高齢者は原則的に大学病院へいくべきではないというのがわたしの考えです。
若い人であれば何らかの病気にかかったときに、それを徹底的に検査し、なるべく高度な治療を受けて、もとの状態に戻るというのは望ましいことなのでしょう。
若ければ、手術による体力低下や投薬の副作用を乗りこえて回復し、病気になる前の暮らしをとり戻すということがあると思います。
でも、高齢者には高度医療という名の力技といえる治療によって身体に受けたダメージから完全復帰するのは難しい。
たとえトラブルのあった臓器の状態がもとの状態に戻ったとしても、調子が戻らずヨボヨボの状態で退院をするとか、退院後の生活のなかで慢性的な倦怠(けんたい)感を抱えてしまうといったことになりかねません。
それ以上に、若い人であれば、病気をするにしても、一つだけであることが多く、それを治せば健康に戻ることができました。
ところが、高齢者の場合、いくつもの病気を抱えていることが多く、そのそれぞれに専門的で高度な治療を受けると、かえって弊害が増えてしまうのです。
大学病院が3つ以上ある都道府県ほど平均寿命が低い
たとえば高血圧でありながら、軽い糖尿病もあり、コレステロール値も標準値オーバーで、頻尿症状も抱えているという場合、大学病院では循環器内科で血圧を下げるための降圧剤とコレステロール値を下げる薬が処方され、内分泌代謝内科で血糖値を下げる薬が処方され、泌尿器科で膀胱収縮を抑える薬を処方されるでしょう。