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「自分たちが死んだら、あの子はどうやって暮らしていくんだろう」という不安は常に付きまとっていたが、なすすべがないまま、20年近くの時間だけが過ぎていったといった感じだろうか。

ところが、そんな中谷家にトラブルが発生した。両親が30代の時に建てた家の老朽化が進み、雨漏りに悩まされているのだ。雨漏りをなんとかしなければと複数の工務店に見積もりを取ったところ、安いところで350万円、高いところだと500万円という見積もりが届いた。

見積もりを見るまでは、「放っておくわけにはいかないだろうな」と思いつつも、先のことは考えないようにしていた中谷家だが、まとまったお金を支払わなくてはならない緊急性が生じたことから、筆者に相談を寄せることになった。

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写真=iStock.com/MediaProduction ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/MediaProduction

家計は毎月赤字…貯金が底を突くのは時間の問題

自宅の修繕費用のねん出方法を考える前に、「引っ越しすることは考えられないか」と尋ねたところ、父親は死ぬまで、今の家から動きたくないとのこと。母親は父親が亡くなった後は、長男と住み替えするのも仕方ないと思うが、今すぐの引っ越しは考えられないとのこと。長男はできる限り、今の家に住み続けたいが、現実に無理であれば、収入のない自分は受け入れるしかないと考えているそうだ。

3人の考え方を踏まえると、雨漏りの修繕はおこなうしかなさそうだ。とはいえ、最低でも350万円以上の修繕費用を出すのは厳しいので、350万円の見積もりを出している会社に、「なんとか200万円以内で、最低限の修繕をお願いできないか」と相談してもらうことにした。その結果、220万円くらいまで見積もりの予算を落とし、修繕工事をおこなうことになった。

中谷家の場合、現時点でも月々3万〜5万円の赤字が発生している。収入(年金)は月22万円。支出は月25万~27万円。固定資産税(年約6万円)や家電の買い替え費用などの負担を考えれば、年間で60万〜70万円程度の赤字が発生しているはずである。