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今回、中谷家では、雨漏りの修理をしなくてはならなくなったことで、その結果として生活設計についても考える必要が出てきた。生活設計を立てたところ、中谷家には「引っ越し」と「生活保護の申請」が必要というプランを立てることになった。

「働くことが難しい子ども」が生活保護を受けているケースは少なくないが、親からの「働け」という圧力が嫌で、別居して生活保護の申請は認められたものの、その後ケースワーカーからの「働くように」という指導がコワくて、自宅に戻ったひきこもりの子もいることは知っておいたほうがよいだろう。

また、別居して生活保護の受給をしていた子どもが、親の死によって財産を相続するケースもある。財産を相続すると、生活保護が停止するだけではなく、それ以前にかかった医療費などの返還を求められるケースもある。自治体に返還するくらいなら、自分は相続放棄をして、他の兄弟姉妹に自分が相続するはずだった分の財産をあげたいと考える人もいるが、相続放棄もできないのが原則だ。

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生活保護の申請に関しては、活用できる財産がない場合に制度を利用するのが順当だと思うが、「65歳未満で病気を患っていない人」が申請をおこなう場合は、働くことも覚悟した上で申請することが必要だろう。

畠中 雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
「働けない子どものお金を考える会」「高齢期のお金を考える会」主宰。『お金のプロに相談してみた! 息子、娘が中高年ひきこもりでもどうにかなるってほんとうですか? 親亡き後、子どもが「孤独」と「貧困」にならない生活設計』など著書、監修書は70冊を超える。