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もちろん、その選択が全くなかったとは言わないし、特にアンケートや統計を取ったわけでもないので結局は僕の憶測に過ぎない話なのだが、現在の千葉県の限界分譲地の中古住宅は、都市部からの流入がメインだった開発当初と異なり、今はその多くが地元出身者や近隣住民の住み替え需要が中心だ。

僕も含め、移住者がまったくいないわけではないのだが、それが多数派になっているような様子も見られない。

売れ行き好調の原因は複合的

原因は僕なりにいろいろ考えてはみた。たとえば、もともと新型コロナウイルスの流行以降は、限界分譲地に限らず首都圏全域で物件価格が上昇気味であり、その価格上昇の波が千葉県の郊外まで押し寄せてきたこと。あるいは、一時期騒がれたウッドショック(本書執筆時点では木材価格は下落傾向にあるが)により新築住宅の建築費用が高騰し、中古住宅の需要が増加してきたこと。

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また、なかなか上昇しない平均所得を補完するものとして副業が注目を集める中、キャッシュでも買える価格帯の中古住宅が豊富な千葉県北東部が、不動産投資の好適地としてにわかに注目を集めたこと、などである。

おそらくどれが決定的な要因とも言えず、様々な要因が絡み合っての結果なのだろう。

また、立地条件は周辺のほかの限界分譲地と何も変わらなくても、1980年代後半以降に開発された分譲地は、道路の幅員や1区画当たりの面積が比較的余裕をもって造成されていて、現代の住宅分譲地と遜色(そんしょく)ない規格のところもある。

新築戸建てが建ち始めたけれど…

こうした「比較的新しい」限界分譲地では、明らかに新築工事を見かける機会が多くなってきた。僕が物件探しを始めたころ、限界分譲地ではほとんど新築の家屋を見かけることはなかったし、新築工事を請け負う地元デベロッパーも、そうした古い分譲地を新築用地として薦めることもなかった。

しかし今は、新築需要のある分譲地の空き地には、草刈り業者ではない一般の仲介業者の看板が立つ光景をよく見かけるし、物件情報サイトにも、そうした限界分譲地での売建住宅(先に建築を行ってから販売するのではなく、買い手から注文を受けてから建築を開始して販売する規格住宅)の広告が並ぶようになってきた。