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昨年5月、同社の本田勝会長が退任し、この問題がクローズアップされた。本田氏は国交省事務方トップの事務次官経験者で、損保会社顧問などを経て2019年6月から東京メトロの会長を務めていた。本田氏は空港ビルの運営などを展開する東証プライム上場の「空港施設株式会社」の首脳に対して、同省OBの当時の副社長を社長にするよう求め、実現すれば、「国交省としてあらゆる形でサポートする」と説明していたことが発覚、大問題となった。

筆者が驚いたのはその後任人事だ。当時副会長だった川澄俊文氏が会長に昇格した。同氏は都の総務部長、福祉保健局長、政策企画局長などを歴任し、2016年から2年間、東京都副知事を務めた人物だ。

不祥事を起こした国交省の天下り会長の後任が、都庁の天下りという人事に開いた口が塞がらなかった。

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年収2000万円超のポストも…

そもそも、なぜ東京メトロが都庁幹部の天下り先になっているのだろうか。

東京メトロは愛称で、正式には東京地下鉄株式会社という。帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の民営化により2004年に発足した特殊会社で、国と東京都が株をほぼ折半している準国策企業という一面を持つ。そのため、副会長や副社長のポストに副知事経験者が座ってきている。

もちろん彼らには役員報酬が支払われている。有価証券報告書によると、東京メトロの役員報酬(社外取締役を除く)は1人当たり平均で2000万円ほどになる。はとバスは「役員報酬は公開していない」(広報室担当者)としているが、社長報酬は1000万円ほどと過去に報道されている。東京メトロの天下りポストは別格で、副知事経験者にあてられてきた。局長経験者などの幹部職員だと年収1000万円程度のポストが用意されるようだ。

現役時代の年収に比べれば低く、かつて存在した退職金も廃止されているようだ。それでも定年退職後5年ほどは年収1000万円を超えるポストが用意されているわけであるから、一般人にはうらやましい限りだろう。