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例えば、先日、筆者がJR池袋駅からりんかい線の品川シーサイド駅まで移動したケースで考えたい。

JR池袋駅から埼京線を利用すれば乗り換えなしで行けるのだが、途中の大崎駅から別会社「りんかい線」となる。池袋―大崎駅は13.4キロで210円(切符利用、以下同じ)、大崎―品川シーサイド駅はわずか3.3キロだが280円となり、計490円もかかった。

りんかい線は都が90%以上を出資する第三セクター方式で設立された東京臨海高速鉄道株式会社が運営している。先述した都の政策連携団体の一つになっている。斎藤真人社長は元収用委員会事務局長、谷本俊哉専務は元交通局建設工務部長だ。同社の「令和4年度 人件費等の状況について」によると、常勤の役員報酬は1人平均1205万円となっている。

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天下り先になっている鉄道会社の運賃は高い

就職活動中の学生と話をしていて、「交通費の負担がきつい」と訴えられることが度々あった。とくにお台場の東京ビッグサイトではよく企業の合同説明会が開催される。就活生の多くが新橋駅、あるいは豊洲駅からゆりかもめに乗り換えて会場に向かうことになる。

新橋駅から東京ビッグサイト駅までは11.3キロで390円、豊洲駅からだと3.4キロで260円かかる。当然、そのためにはJRや東京メトロ、その他私鉄等を使うケースが多いから往復で1000円以上、場合によっては片道でもそのくらいかかってしまう。

ゆりかもめは株式会社ゆりかもめが運営している。路線名としてのゆりかもめは愛称で、正式には東京臨海新交通臨海線だ。安部文洋社長は元政策企画局技監だ。同社の「令和4年度 人件費等の状況について」によると、常勤の役員報酬は1人平均1310万円に上る。

この会社には株式会社東京臨海ホールディングスが99.9%、東京都が0.1%を出資している。東京臨海ホールディングスは都の臨海副都心における第三セクター会社を統括する持ち株会社で、梶原洋社長は元東京都副知事が務めている。施設管理事業、交通事業、ビル事業、展示会事業、埠頭事業でグループ会社を持っている。各社でも天下りポストが用意されやすい。