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「ワシは遺書なんか書かん」と…《紀州のドン・ファン事件》で側近が「遺産13億円は市に」判決を疑問視するワケ

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 “紀州のドン・ファン”こと野﨑幸助氏(享年77)の死後に出てきた手書きの遺言書は本物か否か――。6月21日、和歌山地裁は、遺言書の無効確認を求めていた野﨑氏の実兄ら親族の訴えを退け、遺言書を「有効」とする判決を言い渡した。

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遺言書をめぐり徹底抗戦

 和歌山県田辺市で貸金業などを営む資産家の野﨑氏が怪死したのは、2018年5月のこと。約3年後の21年4月、同氏に致死量を超える覚醒剤を飲ませて殺害したとして、3人目の妻だった須藤早貴(28)が逮捕される。“パパ活婚”から105日後の犯行だった。

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「4000人の女性と関係した」と豪語していた “紀州のドン・ファン”こと野﨑幸助氏

 一方、野﨑氏の死の翌月に見つかったのが、「いごん」で始まるA4用紙1枚の遺言書だ。そこには〈個人の全財産を田辺市にキフする〉などと癖の強い文字で綴られていた。

 司法記者が振り返る。

「保管していたのは野﨑氏の会社にいた元幹部で、野﨑氏の死後、和歌山家裁田辺支部に遺言を提出。遺言書としての形式は整っていたため、19年9月、田辺市が受遺を決め、受け取りの手続きを開始しました」

須藤早貴被告の裁判はこれから

 コンドームの訪問販売をきっかけに、一代で莫大な富を築いた野﨑氏。遺産は預貯金や不動産、絵画、有価証券など、総額で13億2000万円にも及んだ。

「ところが翌年4月、野﨑氏の親族4人が『遺言は何者かに偽造されたもので無効だ』として、和歌山地裁に提訴したのです」(同前)

 野﨑氏には子がなく、両親も他界しているため、遺産は、法定相続分に従えば、配偶者の早貴が4分の3、残る4分の1を野﨑氏のきょうだいに分配するはずだった。だが、遺言の登場によって状況は一変。遺言が有効でも、配偶者の早貴は相続取り分(遺留分)として、遺産の2分の1を請求する権利があるが、きょうだいには遺留分がなく、取り分はゼロになる。

「親族は、遺言書を別人の筆跡とする複数の筆跡鑑定書を地裁に提出。市側は、徹底抗戦をしてきた」(同前)

ドン・ファンが亡くなった自宅