前代未聞の「派閥なき総裁選」が始まる
9月12日に告示され、27日に投開票される自民党総裁選。
過去に例を見ない大乱立となり、選挙戦が始まる前から混戦状態となっている。
その中で、実は各候補者の戦い方もこれまでの自民党総裁選とはまったく違う形に変化している。
一体それはどういうものなのか。
総裁選に向けた動きを分析しながら、総理総裁が誰になるのか、その行方を展望していく。
「今回の自民党総裁選はほぼ人気投票だ。政局のコントロールが効かず、とんでもない人が総理大臣になる可能性がある」
総裁選に向けて慌ただしい動きを見せる永田町で自民党関係者はそう語った。
政局のコントロールが効かない理由は大きく2つある。
1つは自民党裏金問題を受けて、派閥の多くが解散したこと。
もう1つは、その影響もあって候補者が乱立する状況になっていることだ。
「勝ち馬に乗る」従来の戦略が成り立たない
岸田文雄首相が立候補を模索している段階までは、後見人である麻生太郎副総裁が多数派工作のために茂木敏充幹事長や森山裕総務会長に働きかけるなど、旧来の派閥的な動きが残っていたが、退陣表明後は堰(せき)を切ったように推薦人集めが本格化。
本命候補がいない中で、「勝ち馬に乗る」という戦略が成り立たず、候補者が乱立する状況を生み出した。
従来ならば、誰を応援したか氏名が公開されてしまう推薦人になるのは、選挙戦に敗れた場合に冷や飯を食わされる恐れがあるため敬遠されることも多く、立候補に必要な20人の推薦人を集めるのは至難の業とも言われていた。
しかし、今回は自民党が裏金問題で未曽有の危機的状況に陥る中、党改革のためにさまざまな候補者が舌戦を繰り広げることを歓迎する節も出てきており、それによって推薦人集めのハードルが下がったことも、多くの人が手を挙げることを容易にしたと見られる。
議員票だけでは大差をつけることがむずかしい
さて、そうした中ですでに小林鷹之氏、石破茂氏、河野太郎氏、林芳正氏、茂木敏充氏、小泉進次郎氏が記者会見で立候補を表明しており、9日には高市早苗氏、10日に加藤勝信氏、11日に上川陽子氏が相次いで出馬会見をする見通しだ。